エンディングノートで遺族をサポートしよう~故人のスマホ・サブスクの解約手続き~

執筆者:Tomo

エンディングノートで遺族をサポートしよう~故人のスマホ・サブスクの解約手続き~

目次

死亡後の手続き

死亡後には思っている以上に様々な手続きをしなければなりません。亡くなった直後は葬儀関連の手続きが中心になりますが、最低限の公的手続きも必要になります。

死亡届、埋火葬許可申請書の提出や生命保険の死亡保険金請求をしたり、公共料金や生活に関するサービスを解約します。死亡後に解約手続きを忘れてしまうと、不要な費用がかかったりクレジットカードの不正使用に巻き込まれたり、思わぬ損害を被る可能性が高くなってしまいます。

そこで今回は、今や生活必需品であるスマホやインターネット、サブスクの解約について解説していきます。

パソコン

スマホやインターネット、サブスクの解約手続き

・携帯電話やスマートフォンの解約


携帯電話やスマートフォン(スマホ)を解約する際には、携帯電話会社や携帯ショップなどで行います。
手続きの際には、
1.契約している携帯電話やスマホの本体
2.SIMカード
3.死亡の事実が確認できる公的な書類
例・住民票(除票)
 ・除籍がわかる戸籍謄本(全部事項証明書)
 ・除籍がわかる戸籍抄本(個人事項証明書)
 ・埋葬(火葬)許可証
など
4.解約手続きをする人の身分証明書

が必要です。

解約手続きをできる人は故人の家族や代理人に限定されています。キャリアによっても異なるので、予め携帯電話会社に確認しておきましょう。

また、「すぐに解約をしないと月々の料金が発生していまうので、手続きは早く進めたほうがいいのでは」と思ってしまいがちですが、すぐに解約してしまうと故人の関係者からの連絡を確認できなくなってしまいます。

特に「葬儀に関する連絡ができない」「故人の知り合いだった人と連絡が取れない」などという困った状況になります。さらに故人が利用していたネット銀行や証券会社のログイン情報がわからなくなってしまうこともあります。
仮に一ヶ月分を支払ったとしても、故人の遺品の調査が落ち着いてから進めるのが良いでしょう。

そして解約してしまうと、その電話番号は二度と使えません。
総務省の【電気通信番号規則】によって、一定期間後に別の誰かの電話番号として再度使われます。そのため電話番号を残しておきたい場合は、相続人が権利を引き継ぐことができる「承継」を申請します。

ドコモやau、ソフトバンクの3大キャリアは対応していますが、MVNO(仮想移動体通信事業者)の一部では対応していない場合があるので事前に確認しましょう。

また思い出のある家族写真のようなかけがえのないデータが残っている場合、解約する前にバックアップを取っておくと良いでしょう。

また故人の使っていた携帯電話やスマホの本体が行方不明で見つからないこともあるかもしれません。そのような場合には、契約書類や料金請求書、または預金口座の通帳を記帳し毎月の料金の引き落としなどからキャリアを確認することもできます。

・インターネットの解約


インターネットの解約をする際には回線事業者やプロバイダに連絡します。
手続きの際には、
1.申込書
2.死亡の事実が確認できる公的な書類
例・住民票(除票)
 ・除籍がわかる戸籍謄本(全部事項証明書)
 ・除籍がわかる戸籍抄本(個人事項証明書)
 ・埋葬(火葬)許可証

などが必要です。

解約すると、その回線でインターネットに接続することはできません。また解約すればそのメールアドレスも使えなくなります。解約して使えなくなったメールアドレスは、再度取得することが基本的にできません。そのメールアドレスでしか連絡のやり取りができない人がいる場合は、解約を早く進めないように注意しましょう。

・サブスク解約


サブスク(サブスクリプション)は「予約購読」「定期購読」「会費」などの意味を持つ、月額課金・定額制で契約するサービスのことです。サービスによっても異なりますが、「初月無料」「2週間無料」などのキャンペーンが行われているので、気軽に試せるものとして広がっています。

故人のAppleやGoogleのアカウントを通さずに契約したサービスは、そのサービスの公式サイトを見て解約方法を確認しましょう。見つけられない場合には「解約」や「退会」などでページ内を検索をすると、見つかることがあります。
それでも見つからない場合には、サポートセンターに問い合わせてみましょう。
解約手続きを済ませたら、翌月や翌々月のクレジットカードの明細を確認します。
請求がなくなれば、正しく解約できていたことが確認できます。

サブスクは契約者が亡くなったことを知る仕組みが無いので、死亡しても契約は解約されません。そしてほとんどのサブスクは自動更新なので、契約者が亡くなっても契約は更新され続けます。利用規約にもよりますが、故人のサブスクの解約を忘れたことで、発生し続けた利用料を滞納分として、遺族が支払わなければならなくなる可能性があります。

死亡後に解約手続きを忘れた場合の注意点として以下のことが挙げられます。

・解約までの会費がかかる



誰も使っていないサービスに対して、料金を支払い続けるのはもったいないですよね。

・滞納や延滞金などが請求される可能性がある



毎月会費を振り込んでいた、または引き落としができなかった場合には、会費が滞納状態となります。契約内容によっては、延滞金が発生する可能性があるので注意しましょう。

・クレジットカードの不正使用の原因



最近ではクレジットカードの明細書をオンライン上で確認し、書類の郵送を選択されない人も増えています。なので不正使用に気づかず被害に遭う可能性があります。

・争いの原因となる場合がある



解約を忘れていたことで費用が余分にかかり、親族間での不要な争いの原因となる可能性があります。

またサブスクを解約する際に、故人が契約していたサブスクが分からないことがあります。そのような場合はまず故人の残した情報から、契約していたサブスクを探していきます。預金口座の履歴やクレジットカードの明細などから、サブスクを見つけることが可能です。またサブスクの支払い方法は、クレジット払いや口座引き落としがほとんどです。なのでクレジットカードの退会や預金口座の凍結をすると、サブスクの支払いはできなくなります。

ただサブスクの支払いを止めたところで、サブスクのサービス会社に契約者が亡くなったことが伝わるわけではありません。料金の支払いを滞納していると、その後サービス会社から書面での請求が届きます。書面が届いたら解約の手続きをしましょう。

ちなみに、死亡後すぐにクレジットカードや口座を止めると、契約していたサブスクだけでなく、故人についての他の情報を調べるのも難しくなります。こちらも落ち着いてから進めましょう。

スマホ操作

サブスク解約手続きを忘れていた場合~会費や遅延金は支払う必要があるのか

サブスクの解約を忘れた場合、死亡後の会費、滞納や延滞金などは、原則として相続人に支払い義務があります。故人の権利義務は、原則として相続人が全て承継するとされているためです。
しかし免除してもらえる可能性もあります。会員規約に契約の地位は相続できず、死亡に伴い自動的に退会するとされている旨が定められている場合があるのです。

このような規約がある場合でも、解約の連絡をするまでは会費を請求されることがありますが、死亡日以後の会費の支払いは必要ないとされる可能性が高いそうです。そのため、長い間死亡後の解約手続きを忘れてしまっていた場合には、まずそのサービス会社に相談してみましょう。

また相続放棄を検討するのも良いでしょう。
もしかしたら故人が、生前から会費を滞納していた場合があるかもしれません。そのようなことから滞納額が多額となっていた際には、相続放棄を検討することも手段のひとつです。
相続放棄をすれば、はじめから相続人ではなかったこととなります。被相続人の権利義務を引き継ぐ必要がなくなります。ただ、相続放棄は債務だけを放棄することはできず、債権もなくなってしますので注意しましょう。

終活としてエンディングノートに書き留めよう

エンディングノートとは、人生の最期に向けた準備である「終活」のひとつです。
エンディングノートに決まった形式はないので、市販のノートやスマホのアプリやメモ帳、テキストファイルなどに、どのような内容でも自由に書くことができます。氏名や生年月日といった自分の基本的な情報だけでなく、延命措置や介護、葬儀、遺産相続などの希望を書くことも可能です。

またスマホやインターネット、サブスクを解約するための情報を書いておくことも重要とされています。遺族の負担を減らすために以下のことをエンディングノートに書いておくと良いでしょう。

1.携帯電話やスマホ情報


・契約会社名
・電話番号
・メールアドレス
・契約者名
・支払口座
・解約時の連絡先(サポートセンター)
・データの処理に関するお願いなど

2.インターネット情報


・パソコンのIDとパスワード
・メールアドレス
・インターネット契約プロバイダ名
・解約時の連絡先(サポートセンター)

3.サブスク情報


・利用サービスサイト名
・会員番号
・IDとパスワード
・登録メールアドレス
・契約内容
・支払い情報
・会員証等の有無や保管場所
・有料の場合の支払い情報
・データや契約に関する処理方法
・解約時の連絡先(サポートセンター)

契約しているサブスクをリスト化しておくことも大切です。遺族がリストを見て分かるのであれば、調べる手間が省けます。また契約したサービス名とID・パスワードの情報は必ず記載しておきましょう。

関連記事:【終活を始めよう~遺言書とエンディングノートの作成~

関連記事:【終活~最期に向けた散骨に対する想い~

関連記事:【死後の手続き①~家族が亡くなったら何をする?~

エンディングノートの役割

このように、解約時の遺族の負担を減らすためにもエンディングノートに情報を書いておきましょう。また解約リストを印刷して保管しておくこともおすすめです。

しかし死亡後に契約が残るからといって、全て生前に解約する必要はありません。
生活する上で便利なサービスは使い続けたいものです。だからこそ、終活の視点からも安心して使い続けるために「遺族がいつでも解約できる状況」を整えておきましょう。遺族と情報を共有することで、遺族はその情報で判断できます。

また携帯電話やスマホの中には知られたくない情報があるかもしれません。そのような場合は、業者を指定しデータ削除をしてもらうように書いておくのも良いでしょう。亡くなった後でもプライバシーは尊重されるべきです。

エンディングノートは、「もしもの時に備えつつ、自分のことも見直すノート」でもあります。今回のような情報以外に、今までの人生や家族との大切な思い出を振り返るためにもエンディングノートを活用してみてはいかがでしょうか。

まとめまとめ

1.死亡後には葬儀関連から公共料金や生活に関するサービスを解約しなければならない

2.サブスク解約を忘れると不要な会費がかかったりクレジットカードの不正使用に繋がる恐れがある

3.サブスク解約を忘れた場合、死亡後の会費、滞納や延滞金などは原則として相続人に支払い義務がある

4.遺族の負担を減らすためにスマホやインターネット、サブスクを解約するための情報を書いておくことが重要

5.エンディングノートは今までの人生や家族との大切な思い出を振り返るためでもある

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