関東と関西の葬儀文化①~収骨方法と墓石の色の違い~

執筆者:Tomo

関東と関西の葬儀文化①~収骨方法と墓石の色の違い~

目次

関東と関西の文化の違い

最近関西方面へ行く機会が多く、その文化や言葉、習慣など関東との違いに驚いてしまうことがあります。

例えば「しょうゆの濃さ」「出汁は鰹か昆布か」「マック・マクド」「ユニバの発音」など様々な違いがあります。私は関東出身なので、関西へ行くといつもエスカレーターで立つ位置を間違えてしまいます。

皆様も旅行や出張などで関西方面を訪れた際、その違いに戸惑ったことがあるかと思います。

実は「葬儀」や「お墓」に関することでも関東と関西で違いがあるのです。

今回はその中で「収骨方法」「骨壷の大きさ」「墓石の色」の違いについて解説します。

通天閣

関東と関西における収骨方法と骨壺の違い

火葬が終わった後、二人一組になって遺骨を箸で拾い上げ、骨壷に収めることを「収骨」といいます。骨上げや拾骨とも呼ばれています。

ちなみに収骨の際、箸を使用するのは「箸渡し」と「橋渡し」をかけています。箸をそれぞれ順番に渡しながら収骨を行うことで、三途の川を渡る時の「橋渡し(手助け)」をするという意味合いがあるそうです。

その収骨方法にも、関東と関西で違いがあります。

収骨方法の違い

・関東


足から腰・背骨・胸・頭蓋骨を収骨し、最後に喉仏を収骨します。刷毛を使い遺骨の粉まで集める「全骨収骨」が一般的です。

・関西


できるだけ遺骨の形を崩さず、足から腰・背骨・胸・頭蓋骨の一部だけを収骨し、最後に喉仏を収骨する「部分収骨」が一般的です。

形がきれいに残っている遺骨を拾い上げ、骨壷に入れます。残りの遺骨(残骨灰)は火葬場に置いて帰ることが多いようです。関東の人からすると、できる限り骨を残さず収骨したいという感覚になるかもしれません。しかし関西では、関東での一般的な感覚以上に骨を残したまま収骨を終えます。

なぜ喉仏が最後に収骨されるのか

関東も関西も、足から順番に遺骨を拾い上げ、最後に「喉仏」が収骨されます。
喉仏が最後なのは、何か意味があるのでしょうか。

この場合の喉仏とは、軸椎と呼ばれる第二頸椎のことです。一般的に言われている男性の喉仏とは違い、性別関係なくあります。

軸椎が喉仏と呼ばれるようになったのは、仏様が座禅を組んだ姿に似ているからだそうです。そのような形から、喉仏は身体に宿る仏様と考えられ、昔から大切にされてきました。

浄土真宗では、喉仏を分骨して、喉仏だけを手元供養したり、本山納骨、または粉骨して散骨する信仰もあります。

また一説によると、火葬後に喉仏の形がきれいに残ると、極楽浄土に行けるとされています。生前に善い行いをすると、喉仏に反映されるという考えでしょう。
もし見つからなかったとしても、故人の行いが良くなかったということではありませんので、心配しないでください。

収骨方法が違う理由

関東と関西の収骨方法が違うのは、明治時代の「火葬禁止令」が理由とされています。

当時、埋葬方法を土葬に統一して、火葬を禁止しました。しかし埋葬する場所が足りなくなり、衛生面での問題も出てきたことから、わずか2年でこの法令は廃止になりました。

その後、火葬が主流になり、火葬後は遺骨を全て持ち帰るようにという通告が出されました。しかしその通告は関東では定着しましたが、関西までは行き渡らなかったことから、全骨を収骨するという習慣は関東だけにとどまってしまったそうです。

骨壷の大きさの違い

全骨収骨と部分収骨では、遺骨の骨壷へ入れる量も変わってくるので、当然骨壷の大きさも変わってきます。

・全骨収骨を行う関東…七寸(直径約21cm)

・部分収骨を行う関西…五寸(直径約15cm)

とされています。

関東と関西の墓石の色の違い

日本の墓地で使われている墓石は、ほとんどが御影石です。御影石は硬くて風化に強く重さもあり、他の石に比べて吸水率が低いという特徴があります。 その特徴を生かし、古くから墓石として使われてきました。

昔から関東では黒い御影石、関西では白い御影石が採れていました。そして地元の石材を使って墓石を建てることが多かったので、自然に関東は黒色、関西は白色の墓石が建つようになったと言われてます。

しかし「黒色の石は熱がこもりやすく、故人が安らかに眠ることができないので良くない」などと非難されたこともあったそうです。これは関西では黒い石が採れなかったという理由で、黒色のお墓が良くないという認識が生まれてしまったようです。

仏教観点からの色の基本は「赤・青・黄・白・黒」です。どれも極楽浄土には必要な色とされています。なので、黒色が良くないというのは何の根拠もないのです。

実際に関東では黒、大阪で見た時は白に近い薄いグレーの墓石が多かったです。

好まれる墓石の色が違うのはとても興味深いと思います。

関西の墓石

散骨の新たな可能性

今回は関東と関西の収骨方法と骨壷、墓石の色の違いを述べましたが、この他にも葬儀全般から供養の仕方、香典額なども異なってきます。

また、関東と関西以外の地域によってもそれぞれ違いがあります。

その地域の風習ですが、小さい頃お葬式に参列した時、味の無い豆腐を食べなければいけなく、それがあまりにも不味くて泣きそうになった記憶があります。

ちなみに弊社が行っている散骨に関しては、関東と関西はもちろん、地域の文化や風習などによる違いがありません。

ルールやマナーはあるものの、伝統的にこうしなければならないと決められているものがないのです。散骨セレモニーも、それぞれが故人や自分たちの意向に沿って自由に行い故人をお見送りしています。

まだ新しい葬法の散骨ですが、散骨が主流になった時、もしかしたら地域によってその方法などが変わってくるのかなと思うと、散骨の新しい展開にも期待してしまいます。

まとめまとめ

1.関東と関西では文化や言葉、習慣以外に葬儀やお墓に関しても違いがある

2.収骨方法として関東は全骨収骨、関西では部分収骨が一般的で骨壺の大きさも変わってくる

3.関東は黒色、関西は白色の墓石が多く建っている

4.散骨に関しては関東と関西、地域の文化や風習による違いなどは今のところない

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