近年話題の終活と散骨
近年耳にすることも増えてきた終活という言葉について、皆さんは考えてみたこと・実践したことはあるでしょうか?
少し前までは終活ブームと言われるほど世間を騒がせ、各種書籍やマスメディアの特集で取り上げられました。
ごく最近ではブームというほどの熱は無いようにも思いますが、それだけ当たり前の文化として定着しつつあると言えるのかもしれません。
そのように市民権を得つつある終活ですが、しかし一方で「耳にしたことはあれど、実践はしていない」という人が多いのではないか?という結果を示す調査研究も存在しています。
厚生労働省が発表している
人生の最終段階における医療に関する意識調査の報告書によると、「病気を持った高齢者」(=自身の最期に考える機会が多いと期待される)でさえも
終末期医療について考えたことがある人が44%
実際に書面などの形で意思を残している人が12%と低い数字にとどまっています。
●厚生労働省:人生の最終段階における医療に関する意識調査の報告書
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/saisyuiryo_a_h29.pdf
弊社には散骨を希望される方が多くご相談にいらっしゃいますが、その多くが故人様のご遺族です。
しかし中には終活の一環として、ご自身の散骨についてご予約を希望されるお客様もいらっしゃいます。
家族・親族に散骨を任せるのは終活の手続きとして一般的ですが、存命中に散骨の代行を業者に依頼することは可能なのでしょうか?
結論:自身の散骨を存命中に手配をすることは可能
ご自身の散骨を希望する場合、基本的には以下のような方法があります。
1. 遺書・エンディングノートなどに散骨の遺志の示しご遺族に散骨の手続きをしてもらう
2. 家族・親族の同意を得た上で、散骨代行業者などに散骨を依頼する
3. 散骨代行業者と「死後事務委任契約」を結び、散骨を依頼する
1のパターンが最も一般的でご相談の多い形式となります。
信頼のできる家族・親族にあらかじめ相談をしておき、散骨の場所など希望を伝えた上で、実際の手続きなどを遺族に一任する形です。
基本的には最も手続きが簡単でスタンダードなものである一方、ご遺族との関係性にもよりますが希望通りの散骨が行われないリスクも少なからず存在します。
ご自身のエンディングを間違いなく希望通りに執り行いたい場合、または身寄りがなく自身の散骨を任せられる遺族が存在しない場合はパターン2,3のいずれかを選択することになります。
その場合、具体的にどのような手続きが必要になるのかをみていきましょう。
家族・親族など、自身の死後を任せられる身寄りがいる場合
信頼できる身寄りがいる場合、先に述べた
1. 遺書・エンディングノートなどに散骨の遺志の示しご遺族に散骨の手続きをしてもらう
2. 家族・親族の同意を得た上で、散骨代行業者などに散骨を依頼する
上記いずれかの流れで散骨の手配をすることになります。
特にご自身の散骨を希望通りに行いたい場合はパターン2でお手続きをいただけます。
こちらの場合、一般的にはご家族や親族に事前の了承を得た上で、散骨のご予約をいただくことになります。
弊社の場合でも生前の散骨をご予約いただく場合は、必ずご家族や親族に確認をさせていただきます。
稀にですが、ご家族や親族の同意を得られなかったため、半ば強行的にお申し込みにいらっしゃる方もいらっしゃいます。そのような場合、弊社としては正式なお申し込みをお受付することができません。
ただし、仮予約という形でご希望などをお伺いさせていただくことは可能です。遺書などの遺志を尊重されたご遺族の方から後ほどご連絡をいただいた場合に、生前ご希望いただきました散骨による供養を実施させていただきます。
家族・親族など、身寄りがいない場合(死後事務委任契約)
自身の死後を任せられるご家族・親族がいらっしゃらない方の場合、
「自分の死後のあれこれを誰に任せたら良いのか」と疑問に思われるかもしれません。
そのような場合死後事務委任契約を利用することで自身の終活プランを円滑に進めることができます。
死後事務委任契約とは、委任者(本人)が第三者(個人、法人を含む。)に対して、亡くなった後の諸手続、葬儀、納骨、埋葬に関する事務等に関する死後の事務を委任する契約をいいます。
つまりは自分の死後にやってほしいことを、第三者に任せることができる正式な契約と言えます。
任せることのできる内容は非常に自由で幅が広いです。
・各種契約中のサービス解約
・私物(遺品)の整理
・お墓の手配
・SNSアカウントの削除
などなど。。。
そして、この死後事務委任契約は複数の相手と結ぶことが可能です。
「私物の整理はAさん、散骨の代行はB社」といった具合にそれぞれの手続きに適した第三者を選ぶことが可能です。
複数の死後事務委任契約を結ぶ場合はその管理が非常に煩雑になるため、死後事務委任契約をまとめて代行してくれる業者を探してみるのも良いかもしれません。
●参考:一般社団法人 死後事務支援協会
https://sigozimu.com/
ただし、あいだに死後事務手続きのサポーターを入れる場合その分だけ代金が必要になるため、全体の費用感が割高になります。
弊社の場合は散骨の実施について死後事務委任契約をご本人様と直接結ばせていただくことが可能です。
また、死後事務委任契約をご案内する場合でも追加の料金は一切不要です。
契約者様のご遺志を叶えるために誠心誠意サポートをさせていただきますので、頼れる身内がいらっしゃらない方でも安心してお問い合わせください。
死後事務委任契約で起こりがちなトラブル
自身の死後手続きを委任することができる死後事務委任契約ですが、トラブルになることも珍しくありません。
その中でも最も多いトラブルが「親族(遺族)が死後事務委任契約について把握・同意していなかった」というケースです。
死後事務委任契約は委任者(依頼する者)と受任者(依頼される者)間の契約なので、必ずしも親族のへの周知や同意が必要になるわけではありません。
そのため契約を結んだは良いものの、
・うっかり親族に契約したことを伝え忘れていた
・親族の同意が得られない希望だったため、契約者本人の意思のみで契約を締結した
といったケースが往々にして存在します。
ある日唐突に「死後事務の受任者なので、生前の契約に従って遺骨を散骨させていただきます」と、散骨代行業社が現れたら契約の存在を知らない遺族からしてみれば、到底受け入れられるものではありませんよね。
そうなった場合、いかに死後事務の委任という形で正式な契約を結んでいたとしても、スムーズにお手続きを進めることができず、ご遺族との間でトラブルになる場合があります。
悪徳な業者にご用心
散骨の死後事務委任契約に限らず「契約さえしてしまえばこちらのもの」とばかりに、無責任に契約を行う業者も残念ながら少なからず存在しています。
また、死後事務が遂行されたか確認するのが難しいことを良いことに、委任された事務手続きを実行さえしないというトラブルもしばしば問題に上がります。
大切な自身のエンディングでトラブルが発生しないよう、避けた方が良い業社のポイントをいくつか見ていきましょう。
公証人などの仲介を嫌がる
業者と交わした契約は公証人が作成する公正証書という形で残すことが可能です。
客観的な契約の形を拒む場合は契約内容などに問題がある場合があります。
金額や実施内容を明示しない
死後事務委任契約における契約書に明確に金額や実施内容を記載していない場合、後付けで内容を解釈することができてしまいます。契約書の内容は必ず細部まで確認し、問題がないか確認しましょう。
親族・家族について全く気にしない
先に説明した通り、死後事務委任契約はあくまで本人との契約になるため、親族の同意は必要ありません。契約を結んだ時点で一定の効力も発生します。
しかし、親族の同意が無い死後事務委任契約はかなりの確率で親族との間にトラブルが発生します。
死後事務を強行し、親族への精神的な負担をかける可能性があるためこのような場合は疑いの目を持つ方が無難と言えるでしょう。
海と森のセレモニーにおける死後事務委任手続き
森林・海洋葬 海と森のセレモニーでは原則、身寄りのない方の場合のみ散骨代行の死後事務委任契約を承っております。
親族がいらっしゃる場合は、その同意がある場合のみ散骨の事前お受付けをすることが可能ですが、
親族の同意を得られていない場合、強行的に死後事務委任契約を結ぶことはできかねます。
必ずご本人、ご遺族ともに納得のいく形で穏やかなご供養を提供させていただくための規定になりますので、どうぞご承知おきくださいませ。