注目されている散骨
先日、このような散骨の話題をしていた人たちがいました。
「親が新しくお墓(墓石)を建てたんだよね。でも自分がそこに入るのは抵抗があるし、自分は周りの人の負担にならないように散骨希望だし。あとなんとなく奧さんは、自分とその身内と同じお墓に入りたくないって思ってそうだな。」
「わかるー私も家族と同じお墓は嫌だし、将来散骨かなあ。」
そんな会話が、たまたま耳に入ってきました。「散骨がふつうに世の中へ浸透してきているな」と実感した瞬間です。
近年、人気のある葬送方法のひとつである散骨ですが、以前よりも興味や関心を抱く人が増えてきています。
厚生労働省の統計でも、改葬(お墓の引っ越し)の件数は2024年に176,105件と過去最多を更新し、この10年で2倍以上に増加しています。従来のお墓にとらわれない供養のかたちを選ぶ人が増えていることの表れともいえるでしょう。
そのような中で、散骨を選ぶ人たちにはどのようなきっかけがあるのでしょうか。
散骨を選ぶ理由
実際にいただく、散骨に関するご相談やお問い合わせの中から、一部をご紹介します。
・最期は自然に還りたい
海や森などが好きだったから、死後も自然の命と共にありたいということで散骨を希望される方は多くいらっしゃいます。「海はどの場所にいてもひとつに繋がっているから」「遺骨が海の広大な自然の中に還され、風や波によって散らばることで自然と一体化している感じがして気持ちよさそう」「天空を覆う樹冇の下で眠りたい」といった理由があります。 1年中世界各国の海に行っている知人のサーファーは、「海が大好きだから自分の遺骨は絶対に海に撒いてくれ」と話していました。
・戦争で亡くなった同胞と同じ場所に還りたい
第二次世界大戦で「フィリピン」「ミッドウェイ島(ハワイ)」「ガダルカナル島」などで日本軍として共に戦った仲間が眠る地で、最期を迎えたいという理由もあります。日本に帰還できずに戦死してしまった愛する人を忘れられず、自分も同じ場所に還りたいという方もいらっしゃいました。大切な人と同じ場所で眠りにつくのは、どこかロマンを感じさせます。
・墓じまいをするため
当たり前に過ごしていた日常や環境を、すべて奧ってしまう自然災害。手を合わせる墓石が見るも無残な形になり、そんな中でなんとか見つけた骨壺を見て、遺骨をしまい込むこと自体がエゴではないかと思い、墓じまいを決めた方もいました。また、お墓(墓石)は建てたら終わりではありません。お寺や霊園、設備、管理状態によって金額は変わりますが、お墓がある限り維持管理費を支払い続ける必要があり、修繕やメンテナンスの費用もかかります。家族や子どもなどの継承者に負担をかけたくないという理由で墓じまいをし、かたちが残らない散骨を希望する方も多くいらっしゃいます。

ちなみに「最近流行ってきてるんでしょー散骨されてみたい」というメールが届いたこともありました。気軽に興味を持っていただけるのは嬉しいことです。
関連記事:【墓じまいの費用と方法~墓じまい後の供養まで~】
散骨を選ぶ女性の声
散骨を希望する女性の中には、「夫や義実家と同じお墓に入りたくない」という声もあります。
このように考える女性は少なくなく、実際に散骨を希望される方は女性の割合のほうが多い傾向にあります。
以前、結婚している友人が「死んでからも夫と一緒なんて無理、絶対お墓は分ける」「血縁関係がない人たちと同じお墓は嫌」と話していたのを思い出しました。夫婦といっても、必ずしも円満とは限らないのかもしれません。
井上治代著【墓をめぐる家族論-誰と入るか、誰が守るか】では、夫婦が亡くなった後に同じお墓に入らずお墓を分けることを「死後離婚」と呼んでいます。
また、夫とは仲が良くても、義父母との折り合いが悪いため抵抗があるという方もいます。
夫婦単位で新しい戸籍をつくり、夫婦単位で生活を始めるにもかかわらず、なぜ死をきっかけに急に「家」単位になり、自分と関係の薄い人たちと一緒のお墓に入らなければならないのでしょうか。そこに違和感や矛盾を感じる方も少なくないでしょう。
時代とともに、家制度も形髯化しつつあります。「嫁だから」という理由だけで夫の家のお墓に入り、先祖代々のお墓を継ぐという考え方も変わってきています。
せめて死後は、そうした義理やしがらみから解放されて、ひとりで静かに眠りたいと思うことも、人間として自然な感情だと思います。

自身の最期は
散骨を希望する方には様々な理由がありますが、中には「こんな理由でいいのかな」と少し後ろめたさを感じている方もいます。
しかし、どのような理由であれ、それぞれが自分に合った供養の方法を選ぶことは自由であり、大切なことです。
人にはひとりひとり、それぞれの世界があります。ご自身にとって素敵なエンディングのプランを、一度立ててみてはいかがでしょうか。






