海外散骨事情~ドイツ編~

執筆者:Tomo

海外散骨事情~ドイツ編~

目次

ドイツの埋葬文化と法律

ドイツでは、キリスト教の影響により、歴史的に「土葬」が主流でした。しかし、近年では都市の発展や人口増加に伴い、墓地の確保が困難になったことからも、「火葬」が全体の約70%に達するほどに増加しました。

またドイツでは「埋葬法(Bestattungsgesetz) 」や、「墓地義務(Friedhofspflicht)」という法律で、火葬後の遺骨の取り扱いや埋葬方法について、細かい制限が設けられています。

・埋葬法(Bestattungsgesetz)


ドイツの各州(16州)が制定する埋葬に関する基本的な法律です。死亡後の遺体や遺灰の取り扱い、埋葬の方法、許可手続き、火葬のルールなどを定めたものです。

・墓地義務(Friedhofspflicht)


埋葬場所を認可された墓地に限定する義務を指し、全国共通の原則として適用されています。

埋葬法(Bestattungsgesetz)

墓地義務(Friedhofspflicht)

目的

遺体・遺灰の処理と埋葬のルールを定める

遺灰や遺体の保管場所を墓地に限定する

適用範囲

各州が独自に制定(全国に共通する基本ルールあり)

全国共通(州ごとに例外あり)

遺灰の取り扱い

遺灰は認可された墓地でのみ管理

遺灰の自宅保管や自由な散骨を禁止

散骨の規制

原則禁止、一部の州で許可あり

墓地外での散骨を制限

埋葬方法の規制

土葬、火葬、樹木葬、海洋散骨などを規定

墓地以外での埋葬を禁止

このような法律により、散骨や遺灰の自宅保管は一般的に禁止されています。しかし、一部の州では、特別な許可を取得することで、散骨や遺灰の自宅保管が可能となる場合があります。

ドイツにおける海洋散骨の条件

ドイツでは、以下の海域において、一定の条件を満たした場合に海洋散骨が許可されています。

・北海(Nordsee)
・バルト海(Ostsee)

これらの海域では、環境保護と公衆衛生の観点から、指定された区域内でのみ海洋散骨が可能です。また、海洋散骨を行う場合には、遺族が直接散骨するのではなく、認可された葬儀業者が遺灰を扱うことが義務付けられています。

また海洋散骨を希望する場合、以下の規則に従う必要があります。

・自治体または関連機関からの許可取得


海洋散骨には、各州の埋葬法に基づく許可が必要です。散骨の実施は、環境保護局や自治体の承認を受ける必要があります。

・認可を受けた海洋葬業者を利用


ドイツでは、遺族が個人的に海へ遺灰を撒くことは禁止されています。認可された葬儀業者を通じて、適切な方法で散骨を行う必要があります。

・散骨の場所と距離の制限


海岸から一定の距離を離れた公海上で行うことが求められます。航行する船舶の安全を考慮し、航路外の区域で行います。

・環境保護への配慮


散骨の際には、完全に自然分解される骨壺を使用することが推奨され、海洋生態系に影響を与えない方法で行わなければなりません。

※具体的な規定や手続きは、各州の埋葬法や関連する規制によって異なる場合があります。

ドイツの法律と規制緩和の動き

ドイツの法律により、遺灰を自宅に保管したり、自由に散骨したりすることは基本的に禁止されていますが、近年では個人の意思や多様な埋葬方法への関心の高まりを受け、一部の州で規制の緩和が進んでいます。

例えば、ベルリンやブレーメンでは、許可を取得することで、遺灰を自宅に持ち帰ることが可能な制度が試験的に導入されています。この制度により、遺族は故人をより身近に感じながら供養することが可能となりました。

また、2001年にはヘッセン州カッセル郡で初めて樹木葬が導入され、自然と調和した埋葬方法も注目を集めています。遺灰を生分解性の骨壺に納め、指定された森林内の樹木の根元に埋葬します。

このように、ドイツの埋葬法と墓地義務は、伝統的な規範を維持しつつも、社会の変化や個人の多様なニーズに対応するため、徐々に柔軟性を持つようになっています。

ドイツの国旗

ドイツでの散骨を検討する方へ

ドイツでは、厳格な規制と環境保護の観点から慎重に管理されているため、散骨を希望する場合には適切な手続きが必要です。しかし自由な散骨が難しい一方で、合法的に実施するための制度が整備されています。

また、ドイツでは個人的に遺灰を持ち込むことは認められていません。持ち込む場合には、現地の葬儀社と連携し、適切な許可を取得することが求められます。そのため、ドイツでの散骨を希望する場合は、現地の法律を熟知した専門業者と連携することも重要です。

州ごとで許可の取得や手続きの詳細も異なるため、散骨を行う際には、専門的な知識と経験を持つ業者に相談することが不可欠です。許可の取得や散骨の実施には、行政機関とのやり取りや環境保護に配慮した方法の選択が求められるため、適切なサポートがなければスムーズに進めることが難しい場合もあります。

弊社「海と森のセレモニー」では、ドイツでの散骨に関するご相談も承っております。ただし、ドイツでは厳格な法律があり、手続きや条件が非常に複雑なため、対応が難しい場合もございます。

ドイツでの散骨を検討されている方は、事前の計画が非常に重要ですので、まずは一度ご相談ください。可能な範囲でアドバイスをさせていただきます。

まとめまとめ

1.ドイツでは、埋葬法と墓地義務により自由な散骨や遺灰の自宅保管は原則禁止されている

2.ドイツでは、北海やバルト海の指定区域内で、許可を取得し認可された業者を通じた海洋散骨が認められている

3.ベルリンやブレーメンでは許可制での遺灰の自宅保管が試験導入されたり、樹木葬も広がりを見せている

4.ドイツには個人で遺灰を持ち込むことはできないため、現地の葬儀社や専門業者と連携し、適切な手続きを行うことが必要

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