海洋散骨での船酔いが心配
「大切な人を、海へ見送りたい」。そう考えて海洋散骨を選ぶご家族が増えています。家族だけで船を貸し切り、海の上で静かに手を合わせる時間は、きっと心に残るものになるでしょう。
その一方で、海洋散骨を考えている方からよくいただくのが、「船酔いが心配なのですが、大丈夫でしょうか」というご相談です。
乗り物に酔いやすい方や、小さなお子さま、ご高齢の家族が一緒に乗る場合には、なおさら気がかりですよね。深い悲しみの中にあるからこそ、お別れの時間はできるだけ穏やかに過ごしたい。そう願うのは、自然なことです。
今回は、海洋散骨の船酔いを防ぐための準備と、もし酔ってしまったときの過ごし方をご紹介します。
そもそも船酔いはなぜ起きる?
船酔いは、医学的には「動揺病」と呼ばれる乗り物酔いの一つです。内耳にある体の傾きや揺れを感じる器官が強く刺激されたり、目から入る情報と体が感じる揺れが食い違ったりすることで起こると説明されています。
たとえば船の中で、動かない壁や手元のスマートフォンを見つめていると、目は「止まっている」と感じているのに、体は「揺れている」と感じます。この食い違いが、気分の悪さにつながるのです。
つまり、目と体が感じる揺れをそろえてあげることが、船酔いを防ぐ大きなポイントになります。遠くの水平線を眺めると楽になるといわれるのは、このためです。
よくあるご質問~海洋散骨と船酔いについて
Q1:海洋散骨の船は、やっぱり酔いやすいですか?
A:乗り物に弱い方は、酔う可能性があります。ただし、準備次第で負担を軽くすることはできます。
海洋散骨では、大型の客船ではなく、小型から中型の船を使うことが多く、波の影響を受けやすくなります。そのため散骨業者は、天候や波の予報を見ながら、出航するかどうかを慎重に判断しているのです。海が荒れそうなときに日程を変えるのは、安全を第一に考えているからです。
たとえば、弊社が散骨を行っているフィリピンのセブ島やボラカイ島では、両側に浮き(アウトリガー)の付いた伝統的な小舟「バンカ」や、帆で進む「パラウ」で海に出ることがあります。どちらも開放感のある美しい船ですが、揺れを感じやすいこともあるため、船酔いが心配な方は前もってご相談ください。

Q2:酔い止めは飲んだほうがいいですか?
A:乗り物に不安のある方は、酔い止めを用意しておくと安心です。
市販の酔い止めの多くは、乗船の30分前に飲むよう案内されています。症状が出る前に、早めに飲んでおくのがポイントです。
ただし、注意したい点もあります。
・眠気が出ることがある
酔い止めには眠気が出るものがあります。散骨のあとに車を運転する予定がある方は、気をつけましょう。お酒と一緒に飲むのも避けてください。
・飲める年齢が決まっている
大人用の薬は15歳以上に限られるものが多く、子ども用の薬でも5歳未満は飲めないものがあります。小さなお子さまが一緒のときは、薬剤師や医師に相談しましょう。
・持病のある方、妊娠中の方
緑内障や前立腺肥大などで治療を受けている方、妊娠中の方、ご高齢の方は、薬によっては飲めなかったり注意が必要だったりします。かかりつけ医や薬剤師に、体に合った薬を相談してください。
Q3:前日や当日の朝に気をつけることは?
A:よく眠ること、食べすぎないこと、お酒を控えることです。
睡眠不足は、船酔いを悪くするといわれています。前の晩は早めに休み、お酒は控えておきましょう。当日の食事は、食べすぎず、脂っこいものを避けて、消化のよいものを少しとっておくのがおすすめです。
Q4:船の上では、どう過ごせば酔いにくいですか?
A:船の中ほどで、遠くの水平線を眺めて過ごしましょう。
船の先のほうは揺れが大きくなりやすいため、中央付近で過ごすのが安心です。手元の文字や画面を見続けるとつらくなりやすいので、スマートフォンはしまって、風に当たりながら遠くを眺めてください。服装は、体を締めつけない、ゆったりしたものがおすすめです。
また、日本の小型船では、船室の外にいる人はライフジャケットを着けることが義務になっています。散骨の場面では、つい船べりから身を乗り出したくなるもの。体調が悪いときこそ、無理をせず、スタッフの案内に従ってください。
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海洋散骨の途中で酔ってしまったときは
「酔い止めも飲んで、準備もしたのに、それでも気分が悪くなってしまった」。そんなときは、慌てないことがいちばん大切です。周りが落ち着いて対応すれば、少し休むだけで楽になることも多いものです。
・座る、横になる
日陰になる場所に座ったり、横になったりすると、吐き気がやわらぐことがあります。目を閉じて、ゆっくり深呼吸をしてみてください。
・風に当たる
風通しのよい場所で、新鮮な空気を吸いましょう。冷たいタオルで首元を冷やすのもおすすめです。
・散骨の時間は、見守るだけでもいい
無理に立ち上がって、セレモニーに参加する必要はありません。ほかの家族やスタッフが代わりに献花をして、「○○さんの分も」と声をかけるだけでも、一緒に見送った気持ちはきちんと残ります。
・つらいときは、早めに港へ戻る
体調が戻らないときは、予定より早く港へ戻ることもできます。安全と体調が何よりも大切です。
海洋散骨で大切なのは、故人を想う心
ふだん船に乗り慣れていない方が、「酔ってしまったらどうしよう」と不安になるのは当然のことです。けれども、前もって準備をしておけば、多くの方が落ち着いて見送りの時間を過ごせます。
もし途中で酔ってしまっても、自分を責める必要はありません。大切なのは、故人を想いながら、見送りの場にいようとしたその気持ちです。手を合わせられなくても、言葉をかけられなくても、その想いはきっと届いています。
どうしても船に乗るのが難しい方には、ほかの見送り方もあります。家族の代表だけが船に乗り、ほかの家族は岸から見守る。業者に散骨を託して、写真や映像で見届ける。ご家族の事情に合わせて、無理のないかたちを選んでよいのです。
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心が揺れる時間だからこそ、体はできるだけ揺れずに過ごせるように。船酔いのこと、服装のこと、当日の流れのこと。気になることがあれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。
参考:
乗り物酔い(MSDマニュアル家庭版)
Motion Sickness(CDC Yellow Book)
トラベルミン・ジュニアの添付文書(PMDA)
アネロン「ニスキャップ」の添付文書(PMDA)
小型船舶のライフジャケットの着用義務(国土交通省)












