死後事務委任契約とは?よくあるトラブルと対策、国のガイドラインと2026年の法改正

執筆者:Tomo

死後事務委任契約とは?よくあるトラブルと対策、国のガイドラインと2026年の法改正

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死後事務委任契約とは

一人暮らしの高齢者が増えるなか、「自分に万が一のことがあったら、誰が後のことをしてくれるのだろう」「周りに迷惑をかけてしまわないか」と不安を感じている方は少なくありません。頼れる家族がいない方はもちろん、家族が遠方に住んでいる方や、子どもに負担をかけたくないと考える方にとっても、他人事ではない悩みです。

そんな不安に備える方法のひとつが「死後事務委任契約」です。死後事務委任契約とは、亡くなった後に必要となるさまざまな手続きや整理を、生前のうちに信頼できる第三者に依頼しておく契約のことです。

人が亡くなると、役所への届け出、葬儀や納骨、遺品整理、公共料金や携帯電話などの解約、医療費や家賃の精算など、驚くほど多くの手続きが必要になります。死後事務委任契約を結んでおけば、こうした手続きを任せられるだけでなく、「葬儀はこうしてほしい」「遺骨は海に還してほしい」といった自分の希望を実現してもらうことができます。

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一方で、死後事務委任契約は結び方を誤るとトラブルにつながりやすいという注意点もあります。ここでは、よくあるトラブルとその防ぎ方、そして2026年に動き出した国の制度についてご紹介します。

書類イメージ

死後事務委任契約でよくあるトラブル

・遺言書に書いただけで、契約を結んでいなかった


死後事務についての希望を、遺言書にだけ書いているケースは少なくありません。しかし遺言書で法的な効力を持つのは、主に相続や遺贈など財産に関する事項に限られます。葬儀や納骨の方法、各種契約の解約といった死後事務の希望は、遺言書に書いても家族への「お願い」にとどまり、誰かに実行を義務づけることはできません。

財産の分け方は遺言書、死後の手続きは死後事務委任契約と、両方を組み合わせて備えるのが安心です。

・親族が契約の存在を知らなかった


死後事務委任契約は、依頼する人(委任者)と依頼を受ける人(受任者)の間で結ぶ契約です。委任者が伝えていなければ、親族は契約の存在も内容も知りません。いざというときに初めて知った親族が戸惑ったり、内容に納得できずに意見が対立したりして、手続きがスムーズに進まなくなるおそれがあります。

・依頼した事業者が経営破綻した


死後事務を請け負う事業者が破綻し、希望していた手続きが行われないまま契約が終わってしまうことがあります。2016年には、身元保証や死後の葬儀などを請け負っていた公益財団法人「日本ライフ協会」が、高齢者から預かった預託金を流用していたことが発覚し、破産に至りました。契約者は約2,600人にのぼり、返還できる預託金は4割程度になる見通しだと報じられています。

・解約しても預託金が返ってこない


死後事務委任契約では、葬儀費用などの実費に充てるため、事前にまとまったお金(預託金)を預けるのが一般的です。ところが、事情があって解約しようとしたときに、預託金がなかなか返還されずトラブルになることがあります。預託金を事業者自身の資金と分けずに管理していると、経営が悪化したときに返還できなくなるリスクが高まります。

トラブルを防ぐための対策

・契約書は公正証書で作成する


死後事務委任契約は、当事者の合意があれば私的な契約書でも成立します。ただし、公証役場で公証人に「公正証書」として作成してもらえば、契約が本人の意思で確かに結ばれたことを証明しやすくなり、後から内容を争われるリスクを減らせます。原本が公証役場に保管されるため、紛失の心配が少ないのもメリットです。

・親族や身近な人に伝えておく


親族がいる場合は、どこで、誰と、どのような内容の契約を結んだのかを伝えておきましょう。可能であれば、契約前に家族と話し合っておくと、後の行き違いを防げます。親族がいない場合は、信頼できる友人や知人に伝えておくと安心です。

・国のガイドラインを参考に事業者を選ぶ


身元保証や死後事務を請け負う事業者の増加とトラブルを受けて、国は2024年6月に「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」を公表しました。消費者庁は、利用者が契約前に確認できるポイント集も公開しています。事業者を選ぶ際は、次のような点を確認しておきましょう。

・費用(入会金、預託金、月額費用など)の内訳が明確か
・預託金がどのように管理されるか(事業者の資金と分けて管理されているか)
・解約した場合の返金のルールが契約書に書かれているか
・財産の寄附や遺贈を契約の条件にしていないか

費用は依頼する内容や事業者によって大きく異なり、契約費用と預託金を合わせて100万円を超えることも珍しくないといわれます。納得できるまで説明を受け、不安な点があれば消費生活センター(消費者ホットライン「188」)や地域包括支援センターに相談しましょう。

書類

2026年、身寄りのない高齢者を支える公的な仕組みが動き出す

実は2026年、死後事務をめぐって大きな制度の変化がありました。2026年6月19日、身寄りのない高齢者への支援を盛り込んだ改正社会福祉法などが成立したのです。

改正により、社会福祉協議会などが、頼れる身寄りのない高齢者の入院時の手続きや、亡くなった後の葬儀・納骨・家財処分の契約手続きといった事務を、福祉事業として担えるようになります。施行は公布から2年以内とされており、現時点ではまだ利用できません。

公的な支援は、主に経済的な余裕が十分でない方を対象にすることが想定されていると報じられています。「散骨をしてほしい」「この葬儀社に頼みたい」といった細かな希望まで実現したい場合には、これからも民間の死後事務委任契約が大切な選択肢になるでしょう。公的制度と民間のサービスをうまく組み合わせて備える時代になりつつあります。

死後事務委任契約で叶える遺志

死後事務委任契約は、自分の望む最期を実現し、死後への不安を和らげてくれる契約です。それは、自分らしく人生を締めくくり、故人としての尊厳を守ることでもあります。後のことを任せられる人が身近にいない方にとっては、安心して毎日を過ごすための支えにもなるでしょう。

ただし、契約内容は多岐にわたるため、ひとりで進めるのは簡単ではありません。弁護士や司法書士、行政書士などの専門家に相談しながら進めるのがおすすめです。

また、死後事務委任契約は、本人に十分な判断能力があるうちに結んでおく必要があります。認知症などで判断能力が失われた状態で結んだ契約は、民法の規定により無効となります。

法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。民法第3条の2

「まだ早い」と思える元気なうちこそ、準備を始める好機です。これからの毎日をより明るく過ごすためにも、死後事務委任契約について一度考えてみてはいかがでしょうか。

なお弊社では、「散骨の実施についての死後事務委任契約」をご本人様と直接結ばせていただくことが可能です。ご遺志を叶えるために誠心誠意サポートいたしますので、安心してお問い合わせください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な契約内容については、弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。

参考:
内閣官房ほか「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」(2024年6月)
消費者庁「いわゆる『高齢者等終身サポート事業』の利用に関する注意点」
日本経済新聞「預託金流用の公益財団法人、破産手続きに移行」(2016年3月)
日本経済新聞「身寄りない高齢者、入院や葬儀を福祉の対象に 改正法成立」(2026年6月)
e-Gov法令検索「民法」

まとめまとめ

1.死後事務委任契約とは死後に必要な手続きや自分の希望の実行を、生前に第三者へ託す契約

2.遺言書で法的効力を持つのは主に財産に関する事項のため、死後の手続きは死後事務委任契約で備える必要がある

3.よくあるトラブルは親族が契約を知らない、事業者の経営破綻、預託金が返還されないなど

4.公正証書での作成、親族への共有、国のガイドラインを参考にした事業者選びがトラブル防止につながる

5.2026年6月に改正社会福祉法が成立し、身寄りのない高齢者の死後事務を公的に支える仕組みづくりが進んでいる

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