故人を明るく送り出すフィリピンの葬儀
東南アジアに位置し、7,000を超える島々からなるフィリピン共和国。弊社の海外リゾート散骨エリアのひとつでもあります。
・フィリピン散骨【https://sea-forest-ceremony.com/philippines】
スペインやアメリカの統治を経て独自の文化を育んできたフィリピンは、アジアでは東ティモールと並んでキリスト教徒が国民の大多数を占める珍しい国です。2020年の国勢調査では、国民の約78.8%がローマ・カトリックと回答しています。そのため、葬儀もカトリックの慣習に沿って行われるのが一般的です。
このブログでは以前、インドネシアのタナトラジャやガーナ、メキシコなど、明るくにぎやかに葬儀を行う国や地域をご紹介しました。
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実はフィリピンも、葬儀がにぎやかな国のひとつ。キリスト教の「死は永遠の命の始まり」という考え方に加え、家族や仲間とのつながりを何より大切にする国民性もあって、親族や知人が大勢集まり、食べたり話したりしながら故人との最後の時間を過ごします。
日本の静かで厳かな葬儀とはまた違う、故人をにぎやかに送り出す文化が根づいているのです。

フィリピンのお通夜「ラマイ」
フィリピンでは、人が亡くなってから埋葬までの間、英語で「wake」、タガログ語で「ラマイ(lamay)」と呼ばれるお通夜を行います。故人の自宅や葬儀社のチャペルで行われることが多く、路地にテントを張って弔問客を迎える光景もよく見られます。
日本のお通夜は一晩ですが、フィリピンでは3日から1週間ほど続くのが一般的です。ときにはさらに長くなることもあります。海外へ出稼ぎに行っている家族が多いフィリピンでは、遠くにいる親族が帰ってくるのを待つ必要があるからです。その間、弔問客には食べ物がふるまわれ、夜遅くまでにぎやかに過ごします。
お通夜の場では、トランプや麻雀などのゲームが行われるのもよくある光景です。夜通し故人に寄り添う弔問客の眠気覚ましであると同時に、賭け金の一部が遺族に渡され、葬儀費用の足しになるという面もありました。ただし、許可のない賭け事はフィリピンの法律で禁じられており、お通夜だからといって法的に認められているわけではありません。慣習として黙認されてきた面もありますが、お通夜を隠れ蓑にした賭博の横行も問題になり、2020年にはマニラ首都圏の警察がお通夜での賭け事を全面的に取り締まる方針を打ち出しています。
また、香典にあたるお金は「アブロイ(abuloy)」と呼ばれ、日本のように専用の袋に包むのではなく、置かれた箱などに相手との関係や経済状況に応じた額を入れるのが一般的とされています。香典返しの習慣もありません。
フィリピンの葬儀と埋葬
お通夜が終わると、教会でのミサを経て埋葬へと向かいます。服装は黒や白が基本とされますが、露出の多い服や派手な服でなければそれほど厳しくは問われません。常夏の国だけあってスーツ姿の参列者は少なく、全体的にカジュアルな雰囲気です。
墓地へ向かう際には、棺を載せた霊柩車の後ろに親族や友人、知人が列をつくり、葉列を組んで歩きます。以前弊社スタッフがマニラの「マニラ・サウス墓地」を訪れた際にも、霊柩車からにぎやかな音楽が流れ、その後ろをジプニーやバイクに乗った大勢の参列者が続く、まるでお祭りのような光景が見られました。歩くのが難しい方のために、車やバスを用意することもあるそうです。
フィリピンでは、伝統的には故人を棺に納めたまま埋葬するのが主流です。ただし都市部では墓地のスペースが限られており、広い区画に立派なお墓を建てられるのは一部の人だけです。そのため、壁のように何段にも積み重ねられた「アパート型」のお墓に棺を納めることも多くあります。費用や墓地不足の事情から、近年は火葬を選ぶ人も増えているといわれます。

毎年11月1日の「諸聖人の日」前後には、家族が墓地に集まって一日を過ごす「ウンダス」という習慣もあり、故人をしのぶ時間もまた、にぎやかな家族の行事になっています。
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カトリックの死生観と、火葬・散骨の考え方
キリスト教では、死は永遠の別れではなく、神のもとでの永遠の命の始まりと考えられています。死は悲しい出来事である一方で、「復活」という大きな希望に結びついたものでもあるのです。そのため、キリスト教徒の方へのお悔やみでは、「ご愁傷様です」よりも「安らかなお眠りをお祈り申し上げます」といった言葉がふさわしいとされています。
かつてカトリック教会は、肉体の復活への信仰から火葬を認めていませんでした。しかし現在は、埋葬が望ましいとしつつも、火葬そのものは許されています。一方で、バチカンは2016年の指針で、遺灰を墓地などの聖なる場所に納めることを求め、自然のなかへの散骨は認めていません。
ただし2023年12月には、家族が教会に申請すれば、遺灰のごく一部を故人にとって思い入れのある場所に残すことも検討できるという見解が示されました。伝統を大切にしながらも、遺族の想いに寄り添おうとする変化が、少しずつ生まれているのです。
フィリピンで散骨を考える際には、現地の法制度に加え、こうした宗教的な背景や現地の人々の感情への配慮も欠かせません。弊社では、こうした点を踏まえたうえで散骨を執り行っています。
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にぎやかに送り出す文化が教えてくれること
フィリピンの葬儀は、お通夜から埋葬まで、最後のお別れのその瞬間まで活気にあふれています。長生きした方を送るときには、「立派に生きたのだから笑顔で送り出そう」という雰囲気になることもあるそうです。
悲しみを分かち合いながらも、家族や仲間と一緒に故人の人生を讃える。そんなフィリピンの送り方は、私たちに「死」との向き合い方や、生きることの意味をあらためて考えさせてくれます。
故人が愛した景色のなかで、明るく、あたたかく見送る。そんな弔いのかたちも、ひとつの選択肢として心に留めておいていただけたら幸いです。
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参考:
Philippine Statistics Authority「Religious Affiliation in the Philippines (2020 Census of Population and Housing)」
Philippine News Agency「NCRPO prohibits gambling at wakes」(2020年)
Vatican News「Dicastery for the Doctrine of the Faith responds to questions about cremation」(2023年)
America Magazine「Vatican says no to scattering ashes, but approves families keeping 'minimal' part of cremated remains」(2023年)





