「お墓に入る場所がない」――そんな切実な訴えが、2026年8月31日、パキスタンの首都イスラマバードで表面化しました。キリスト教徒コミュニティが管理する墓地の残り区画がわずかとなり、上院の委員会が事態を重く見て動き出したのです。
日本国内でも「墓じまい」や「改葬」が過去最多を更新し続けているように、お墓や埋葬の“場所”をめぐる悩みは、実は世界中で同時多発的に起きています。今回は、パキスタンで起きたこのニュースを入り口に、世界各地で進む墓地不足の実情と、土地に縛られない弔いのかたちについて考えてみます。
パキスタン・イスラマバードで表面化した「墓地不足」
2026年8月31日、パキスタン上院の少数派問題に関する委員会は、イスラマバード市内にあるキリスト教徒向け墓地の深刻な埋葬用地不足を正式に問題として取り上げました。
現地カトリック協会の代表者が委員会に提出した報告によると、この墓地にはもともと約5,000平方メートル(テニスコート約19面分に相当)の土地が割り当てられていましたが、記録と現状を照らし合わせると、現在残っているのはわずか約2,000平方メートル(同約8面分)ほどだといいます。さらに、そのうち約630平方メートル分の土地が不正に売却され、不法占拠が発生していたとの訴えも出ているとのことです。
委員会の委員長は事態を重く見て首相や内相との面会を申し出たほか、イスラマバード副長官もすでに担当部局に報告を求めており、新たな墓地用地として政府用地の割り当てが検討されていると報じられています。少数派コミュニティにとって「どこに眠るか」という問題が、行政を動かす社会課題にまで発展した事例といえるでしょう。
実は世界共通の悩み―ロンドンや韓国でも進む埋葬用地のひっ迫
墓地不足は、パキスタンだけの問題ではありません。
・イギリス・ロンドン
ロンドン近郊の自治体を対象にした調査では、2040年までに17の自治体で埋葬用地が枯渇する見通しとされ、カムデン、ハックニー、タワーハムレッツの3区はすでに用地を使い切っていると報じられています。郊外に新たな共同墓地を設ける動きも出てきていますが、根本的な解決には至っていないようです。
・韓国
韓国では火葬率が94%を超える水準まで上昇する一方、ソウルなど大都市部では火葬施設の整備が追いつかず、供給不足が課題視されていると報じられています。急速な高齢化を背景に、今後さらに火葬需要が増えるとみられ、行政による対応が急がれているようです。
こうした状況を背景に、韓国では2023年12月に「葬事等に関する法律」の改正案が国会を通過し、2025年1月24日から、遗骨を海にまく「海洋葬(海洋散骨)」が正式な自然葬の一形態として法制度化されました。それまでは「違法ではないが明確な法的根拠もない」というグレーゾーンの状態が続いていましたが、改正後は海岸線から5km以上離れた海域で、粉状にした遗骨と自然分解する容器・生花のみを用いる、といった具体的なルールが定められています。現在は仁川沖・釜山(水営湾沖)・麗水・江陵の海域で実施が可能で、なかでも仁川が国内の海洋葬市場の9割を占めるとされ、実施件数は年々増加しているといいます。火葬施設の不足という課題の裏側で、海洋散骨という選択肢そのものは制度として着実に根付きつつあるようです。
いずれの国・地域にも共通しているのは、「亡くなる人の数」に対して「弔う場所」の整備が追いついていないという構図です。
日本も他人事ではない―多死社会と「土地に頼らない弔い」への関心
日本国内でも、状況は似ています。お墓を維持すること自体が難しくなり、墓じまい(改葬)を選ぶ人が急増しているのは、各種報道が伝えているとおりです。背景には、遠方でお墓参りに通えない、継承者がいない、管理の負担を子や孫に残したくないといった事情があります。
一方で、墓じまいを進める過程では、寺院との間で離檀料などをめぐるトラブルが起きるケースも各地で報告されており、「お墓をどう手放すか」自体が新たな悩みの種になっている現実もあるようです。
こうした流れのなかで、はじめから土地や後継者を必要としない供養として、樹木葬や海洋散骨といった選択肢への関心が広がっているのは、パキスタンやイギリス、韓国が直面する「土地の限界」への、いわば静かな答えなのかもしれません。
「また会いに行きたくなる」海外リゾート散骨という選択
海と森のセレモニーがご提案する「海外リゾート散骨」も、こうした土地に縛られない供養のかたちの一つです。ハワイやセブ島、フィンランドなど、海外の美しいリゾート地で遺骨を自然に還す海洋散骨・森林散骨を、現地の法律確認から実施まで一括でサポートしています。
お墓を持たない選択は、管理の負担や離檀料といった悩みから解放されるだけでなく、「今は亡き大切な人に、何度でも会いに行きたくなる場所」を自由に選べるという魅力もあります。世界的に埋葬用地がひっ迫していくこれからの時代、故人を送る場所を自分たちで選び取るという発想は、ますます現実的な選択肢になっていくはずです。
「弔いの場所」をめぐる課題は、宗教や国境を越えて世界中で静かに広がっています。パキスタンでの一つのニュースは、決して遠い国の出来事ではなく、私たちがこれからのお墓や供養のかたちを考えるための、一つのきっかけになるのではないでしょうか。海外での散骨にご関心のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
関連記事:【「お墓を継がない」を選ぶ人が増えている理由~墓じまい急増と海洋散骨に見る、供養の価値観の変化~】
参考:
Senate panel flags Christian cemetery crisis - The Express Tribune
Bristol burial site offers solution for London land shortage - Funeral Service Times
Korea Cremation Rate Nears 95%, Facility Shortage Looms - NewKerala
해양장 법적 근거 생겨다…장사법 개정안, 국회 통과 - 상조장례뉴스
바다장(해양산분) 관련 정책Q&A - 국토교통부





