墓参りが「行けない」を「行きたい」に変える―樹林葬人気と代行サービス拡大に見る、これからの供養のかたち

執筆者:Tomo

墓参りが「行けない」を「行きたい」に変える―樹林葬人気と代行サービス拡大に見る、これからの供養のかたち

目次

今年のお盆、猛暑のなか実家のお墓まで足を運ぶのが難しかったという方も多いのではないでしょうか。「行きたい気持ちはあるのに、行けない」というジレンマは、今や特別な事情ではなく、多くの家庭が抱える現実になりつつあります。

その一方で、この夏は自治体が整備した樹林葬墓地に応募が殺到したというニュースも話題になりました。実は、この2つの出来事は別々の現象ではなく、「無理なく、それでも大切な人とのつながりを続けたい」という、多くの人に共通する願いから生まれているのかもしれません。

今回は、2026年8月に報じられたお墓参りをめぐる2つのニュースを手がかりに、これからの供養のかたちについて考えてみたいと思います。

「墓参りが負担」に感じる人が増えている―代行サービスと夜間参拝の広がり

2026年のお盆は、各地で厳しい暑さが続きました。そうした中、お盆に「墓参り代行」サービスを利用する人が増えたと報じられています。ふるさと納税の返礼品として墓参り代行を扱う自治体も複数あるとされ、遠方に住む家族に代わって、地元の業者や自治体がお墓の清掃や献花を行う仕組みが広がりつつあるようです。

また、ある霊園では日中の暑さを避けられるよう、園内にランタンを設置して夜間でも静かにお参りができる工夫を始めたとも伝えられています。

これらの動きの背景には、主に次のような事情があると考えられます。

・猛暑という物理的な壁


真夏の墓地での作業や長時間の移動は、高齢の方や体力に自信のない方にとって大きな負担です。熱中症のリスクを考えると、無理をしてまで足を運ぶことをためらう家庭が増えても不思議ではありません。

・お墓と暮らす場所の距離


進学や就職で実家を離れたまま生活拠点を移す人が増え、先祖代々のお墓が遠方にあるケースは珍しくなくなりました。年に一度帰るだけでも交通費や時間の負担は小さくありません。

・墓主自身の高齢化


お墓を管理してきた世代自身が高齢になり、これまでのように頻繁にお参りへ通うこと自体が難しくなっている家庭も増えています。

こうした事情から、「お参りをやめたいわけではないが、これまでと同じやり方を続けるのは難しい」と感じている人が、静かに増えているようです。

神戸市の樹林葬に1038人が応募―公的機関にも広がる「継承しない供養」

もう一つ、今年の夏に注目を集めたのが、神戸市が北区の森林公園内に整備した公営の樹林葬墓地です。神戸市はこの春に初めての利用募集を行い、初年度は80人程度の申し込みを想定していたところ、1038人もの応募が集まったと報じられています。

樹林葬とは、粉末状にしたご遺骨を土に埋めて自然に還す葬法で、墓石や墓標を個別に設けないのが特徴です。子や孫が墓を受け継ぐ必要がなく、管理期間の終了後は自然の森へと還っていく計画だとされています。神戸市はこの想定を大きく上回る申し込みを受け、抽選を行わずに資格を満たす応募者を全員受け入れる方針に急きょ変更したとのことです。申し込みの内訳は、自分の死後の埋葬を希望する人が616人、すでに手元にある遺骨を納めたいという人が422人だったとされています。

これまで「継承を前提としない供養」といえば、海洋散骨や樹木葬など民間サービスが中心のイメージがありました。しかし、公営墓地でこれほどの応募が集まったという事実は、こうした価値観がすでに一部の人だけのものではなく、幅広い世代に共有されつつあることを示しているといえるでしょう。

なお、墓じまい・改葬の件数についても、2024年度は176,105件と過去最多を更新し、この10年でおよそ2倍に増加したとされています。継承を前提としない供養へのニーズは、樹林葬や散骨に限らず、既存のお墓の整理という形でも着実に広がっているようです。

なぜ人は「行けない」を「行きたい」に変えたいのか

ここで少し立ち止まって考えてみたいのは、これらの動きに共通する願いです。墓参り代行や夜間参拝の工夫も、樹林葬への応募殺到も、「お参りをやめたい」という話ではありません。むしろ逆で、「大切な人とのつながりを絶やしたくないからこそ、無理のない形を探している」という点で共通しているのではないでしょうか。

従来のお墓は、遠方であっても、暑くても、体力的に厳しくても、「行かなければならない」という義務感が前提になりがちでした。その結果、行けないこと自体に罪悪感を覚えてしまう人も少なくなかったように思います。しかし本来、供養のかたちは一つに限られるものではないはずです。

継承の負担を減らす樹林葬、負担を代わりに引き受けてくれる代行サービス、そしてお参りの環境そのものを見直す夜間参拝の工夫。これらはすべて、「義務としての墓参り」から「自分たちが続けられる、無理のない供養」へという発想の転換の表れだと捉えることができそうです。

そしてこの発想の転換は、海外に目を向けても共通して見られる現象です。米国では近年、火葬率が上昇を続けており、業界団体の集計では2024年の火葬率は61.8%に達したとされています。同時に、環境負荷の少ない「グリーンビュリアル(自然葬)」への関心も、特にミレニアル世代やZ世代を中心に高まっているとの指摘があります。国や文化的背景は異なっても、「継承や管理の負担にとらわれず、自分たちらしい形で故人とつながり続けたい」という願いは、日本国内に限った現象ではないのかもしれません。

「また会いに行きたくなる」場所を選ぶという発想―海外リゾート散骨という選択肢

夕暮れの穏やかな海辺の風景

「無理なく続けられる供養」を考えるとき、私たちがもう一つご提案したいのが海外リゾート散骨という選択肢です。海と森のセレモニーが掲げる「また会いに行きたくなる」散骨というコンセプトは、まさに今回取り上げた「行けない」を「行きたい」に変えるという発想と重なる部分があります。

国内のお墓参りが「義務」に近い負担として感じられがちなのに対し、海外リゾート散骨では、故人が眠る場所そのものが、家族にとって「また訪れたくなる旅先」になり得ます。美しい海や自然の中で過ごす時間は、単なる管理や維持の対象としてのお墓参りとは異なり、故人を偲びながら、同時に家族自身の心も豊かにしてくれる時間になるかもしれません。

もちろん、海外での散骨には現地の法律や慣習に関する専門的な確認が欠かせません。海と森のセレモニーでは、法務調査機関によるリーガルチェックを経たうえで、ハワイをはじめとする世界各地でのプランをご用意しています。

まとめ―供養に必要なのは「義務感」ではなく「また会いたい」という気持ち

猛暑の中での墓参り代行サービスの広がりも、神戸市の樹林葬への応募殺到も、根底にあるのは「大切な人とのつながりを、自分たちなりの形で続けていきたい」という、とても自然な願いだと感じます。

お墓のかたちや供養の方法に、決まった正解はありません。負担を減らす樹林葬や代行サービスも、故人に会いに行くこと自体を楽しみに変える海外リゾート散骨も、目指しているのは同じ場所―無理なく、それでいて心のこもった供養を続けていくことではないでしょうか。

「今のお墓参りの形に、少し無理を感じている」という方は、この機会にご自身やご家族に合った供養のかたちを見直してみてはいかがでしょうか。

関連記事:【「お墓を継がない」を選ぶ人が増えている理由~墓じまい急増と海洋散骨に見る、供養の価値観の変化~

参考:
墓参り代行や夜のお参りも・自治体の「樹林葬」に応募殺到、墓じまいの今後(Yahoo!ニュース エキスパート)
神戸市初募集「樹林葬墓地」申し込み1000人超 想定は80人、ニーズ踏まえ応募者全て受け入れへ(神戸新聞NEXT)
【第4回】改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年)(株式会社鎌倉新書)
Interest in environmentally friendly Green Burials rising particularly among Millennials and Gen Z(KUNC)

まとめまとめ

1.2026年のお盆は猛暑の影響で「墓参り代行」サービスの利用が増加し、夜間参拝の工夫を行う霊園も出てきている

2.神戸市が整備した公営の樹林葬墓地は、想定80人に対し1038人もの応募が殺到し、抽選なしで全員受け入れる方針に変更された

3.墓じまい・改葬の件数もこの10年でおよそ2倍に増加しており、継承を前提としない供養へのニーズは幅広く広がっている

4.これらの動きに共通するのは「お参りをやめたい」のではなく「無理のない形で続けたい」という願いであり、海外のグリーンビュリアルへの関心の高まりとも重なる

5.海と森のセレモニーが提案する「また会いに行きたくなる」海外リゾート散骨も、この願いに応える選択肢の一つとなり得る

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