自分で粉骨する方法~準備から手順、散骨まで~

執筆者:Tomo

自分で粉骨する方法~準備から手順、散骨まで~

目次

粉骨が必要な理由とは?~散骨と手元供養での役割

日本では一般的に、火葬後の遺骨は骨壺に納め、直接お墓に埋葬します。
しかし散骨をしたり手元供養などをする場合は「粉骨」が必要になります。

粉骨とは、遺骨を粉末状に細かくすることです。

例えば散骨では、現時点では散骨に関しての法令はありませんが、遺骨とわからないように2mm以下の粉末状に粉骨しなければなりません。第三者が見ても、明らかに人の遺骨だとわかるような大きさのまま散骨をすることは、【刑法第190条「死体遺棄罪」】にあたり法律違反になってしまうのです。

死体損壊等

第百九十条 死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。

刑法第190条

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また手元供養する場合も、粉骨をして容量を小さくした方が、保管場所の確保や持ち運びがスムーズに行えます。
親族で分骨する場合も、粉末状の遺骨だと分けやすいでしょう。「ミニ骨壺」と呼ばれる小さな骨壺に入れて分けることも可能です。

関連記事:【分骨手続きのポイント~手順から注意点まで~

粉骨は自分でできる?~粉骨に必要なものと環境

遺骨を粉骨する際、粉骨業者に依頼する人がほとんどでしょう。しかし道具を揃えて根気よく行えば、自分でも粉骨できます。

粉骨に必要なもの

まずは粉骨に必要な道具を揃えましょう。

・乳鉢と乳棒…陶器製か石製のものを用意します。乳鉢は直径10cm以上あった方が大きな遺骨を粉骨する際に楽です。底が浅い物より深い物を選びましょう。

・ハンマー(金属製)…大きな遺骨を細かくする際に使います。

・ジップロック…大きな遺骨を砕く時や粉骨した後の遺骨を収納する際に使います。普通のビニール袋だと破けてしまうので厚手のジップロックがおすすめです。

・タオル…ジップロックに入れた遺骨をハンマーで叩く際に使用したり、乳鉢で擦る際に滑り止めとして下に敷きます。

・金属製のボウル…粉骨した遺骨を入れるのに使います。プラスチック製は静電気で遺骨がくっついてしまうので金属製にしましょう。

・ふるい…粉骨した遺骨をふるいにかけて細かな異物を抽出する際に使います。編み目が2mm以下のものを選びましょう。

・刷毛(黒毛)…粉骨した遺骨を掻き出す際に使います。ナイロン製の刷毛は静電気が発生するので馬毛や豚毛にします。

・紙袋…粉骨した遺骨を収納する際に使います。散骨する場合は水溶性の紙袋が良いでしょう。アルミパウチでも代用できますが、静電気が発生しやすいのでおすすめしません。

・ピンセット…細かい金属片や刷毛の毛などを拾うのに使います。

・マスク…N95といった粉塵対策用だと安心です。

・ゴーグル…遺骨が目に飛んでくる場合があります。

・ゴム手袋・・・堅い遺骨から手を保護するため厚手のものにしましょう。

スポンジとゴム手袋

粉骨する環境

粉骨に必要な環境を整えます。

・湿気対策…遺骨は湿気を帯びると粉骨しづらくなるばかりか、粉状になった遺骨がしっとりしてしまったり、器材にこびりついて取れなくなります。室内の湿度は最低でも50%台に保ちましょう。

・粉塵対策…粉骨作業をすると白い粉が舞います。窓を開けて換気したいところですが、湿気は大敵なので何らかの集塵機を使いましょう。また、遺骨の成分はカルシウムとアパタイトで水には溶けません。吸い込むと人体に悪影響を及ぼしかねないので、N-95といった高機能マスクを装着します。

・安全と衛生対策…乳棒で砕く際に遺骨が飛んでくることがあるので、必ずゴーグルをして目を保護しましょう。また堅い遺骨を素手で触れるのは危険で、さらに長い間埋葬してあった遺骨にはバクテリアが付着してる可能性もあるので、必ずゴム手袋をします。ゴム手袋は破れない厚手の物にしましょう。

粉骨の手順

1.遺骨の状態を確認する


遺骨を取り出す前に「遺骨が湿っていないか」「骨壺の中にガラスや針金など危険な物は含まれていないか」などを調べます。湿度計があれば骨壺の底まで計測棒を差し込んで、湿度60%以上だった場合は乾燥が必要です。遺骨が冷たかったり、しっとりしていたり、骨壺の蓋の裏に水滴が付着してる場合は高湿度状態なので粉骨はできません。また、六価クロムが気になる場合はパックテストを使って六価クロム検出テストを行い、検出された場合は中和剤などを使用して中和作業が必要になります。

2.遺骨を乾燥させる


遺骨が湿っていた場合、骨壺から遺骨を取り出して乾燥させなければなりません。遺骨を新聞紙の上に広げ、天日干しや湿度50%以下の部屋で乾燥させます。
骨壺の中に入れたまま乾燥させたい場合は、骨壺の蓋を開けた状態で、湿度40%以下の場所で2週間程度安置すると、ある程度は乾燥します。乾燥中は空気中に浮遊した粉塵やバクテリアに注意しましょう。

3.異物を取り除く


骨壺の中にはネジや釘、タッカー針など様々な異物が含まれていることが多いので、磁石や金属探知機などを使って探し取り除きます。小石やセラミック、古い金属などは反応しないので目視で探すことも必要です。特に5mm以下の溶けた金属がたくさん出てくるので、これを取り除きながら粉骨しないと乳鉢が傷だらけになったり割れてしまいます。

4.粉骨する


・大きな遺骨を1片1cm程度に粉骨する

大きな遺骨はジップロックに入れてからタオルで包み、金属製のハンマーを使って砕いていきます。頭蓋骨や顎、大腿骨は硬く尖っていたりするのでジップロックを突き破って出てくることがあるので注意しましょう。

・1片1cm程度の遺骨を3mm以下まで粉骨する

ある程度細かくなったら乳鉢と乳棒を使って砕いていきます。「擦る」のではなく「叩いて」砕いていきます。その際遺骨が飛んでくるので、必ずゴーグルとマスクは装着しましょう。

・1片3mm以下の遺骨をパウダー状に粉骨しする

乳鉢と乳棒を使ってすり潰します。叩いて細かくなったらすり潰して粉末状にしていく、という作業をひたすら続けます。小さく潰せない金属片がたくさん出てくるので、ピンセットでつまんで取り除きましょう。

5.粉骨した遺骨を収納する


粉末状になった遺骨をふるいにかけて、金属製のボールに移します。最後に針金や刷毛の毛などの異物が入っていないか確認しながら紙袋に収納します。紙袋に収納したら、飛散防止対策をしておきましょう。

6.後片付け


粉骨した後、部屋の中は白い粉末で一杯になってると思われます。掃除機で大量の粉末を吸い込むと故障の原因になるので、基本は拭き掃除で済ませましょう。

粉骨イメージ

粉骨後は海外リゾート散骨へ

粉骨をするのに許可などは必要ないので、誰でも自分で行うことができます。
ただ、遺骨というのは思いのほか硬く、簡単に粉末状にできるようなものではありません。また慣れていない人が行うのは、時間も手間もかかります。

全て乳鉢による手作業だった場合、使う道具にも左右されますが、目安として2~3寸壺程度の遺骨であれば1~2時間程度、4~5寸壺だと3~5時間、6寸壺以上だと堅い顎の部分や頭蓋骨等も含まれていると思うので8~10時間程度はかかります。

遺骨は高齢であるほど柔らかく、男性よりも女性の方が柔らかいので短時間で粉骨できます。しかし人骨よりも動物の骨の方が堅いので、さらに時間が掛かります。

一から道具を揃えて個人宅で粉骨するとなると、かなり大変だと思われます。
また遺族が故人の遺骨を砕くのは心理的負担も大きく、体力的にも大変です。

そのような場合は、粉骨業者に依頼するのも良いでしょう。粉骨業者は、散骨業者や葬儀社に依頼すると紹介してもらえるかもしれません。

弊社では、「海外リゾート散骨」と「粉骨」の両方を行っていて、併せてご利用いただくことが増えています。そして国内で粉骨した遺骨を、安全に海外に輸送し、海や森林の環境を守りながら散骨を行っています。

粉骨した遺骨を自然に還す、大切な人とのお別れを心に残るかたちで行うことができることでしょう。

まとめまとめ

1.粉骨とは遺骨を粉末状に細かくすることで、散骨や手元供養を円滑に行うために必要な作業

2.粉骨は必要な道具と環境を整えれば自分でも可能で、湿気や粉塵、衛生対策と安全装備が大切

3.粉骨は遺骨の状態を確認し乾燥させ、異物を除去した後にハンマーで粉末状にし、ふるいで異物を取り除いて収納し、最後に拭き掃除で後片付けをする

4.弊社では国内で粉骨した遺骨を海外のリゾート地へ安全に輸送し、自然を守りながら散骨を行い、心に残るお別れをサポートします

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