形見分けとは?~マナーやタイミング・注意点~

執筆者:Tomo

形見分けとは?~マナーやタイミング・注意点~

目次

遺品と形見の違い

人生において、大切な人との別れは避けられないものです。
その後、故人の遺品整理をした際に、生前に愛用していたり、想いが詰まっているものが出てくる場合があります。

そのようなものを「形見」と言います。

形見として残されるものは様々あります。
例えば時計やネックレスなど、故人が普段身に着けていたものや、「自然と故人を思い出す」「故人が近くにいるように感じる」といったものが形見とされています。

また遺品と形見はどちらも故人に関連し混同されがちですが、内容と目的に大きな違いがあります。

遺品とは、故人が生前に所有していた「全てのもの」のことです。これには、日常的に使用していたものから、個人的な持ち物、家具、家電などあらゆるものが含まれます。
そして遺品は必要に応じて処分、保管、相続などが行われます。
また金銭的に価値の高いものは遺品ではなく遺産に該当します。例えば、宝石や不動産、車や絵画などが挙げられます。

一方、形見は大切に保管されたり、遺族や親族、友人に引き継がれます。
そして故人を偲び、供養するのを目的としています。

遺族の心の拠り所となるだけでなく、故人を失った悲しみを和らげ、心の癒しとなることが多いのです。また形見を持つことで、故人の存在を感じ続けることもできます。

しかし、形見を誰にどのように分けていいのか、いつ渡すのかなど疑問に思う人もいることでしょう。

形見分けとは~手順とタイミング

故人が残した形見を、思い出のものとして遺族や親族、友人などで分けることを「形見分け」と言います。

そもそも形見分けは、仏教の開祖である「釈迦」が、弟子に自分の遺品を渡したことが起源とされているそうです。そして「故人が身につけていたものには魂が宿っている」という考えから故人の形見分けが慣習化し、現在に受け継がれていると言われています。

形見分けの手順

1.形見の選定


故人の遺品を整理し、その中から形見として分けるべきものを選びます。特に故人が愛用していたものや、思い出深いものを形見にしましょう。

2.分配の計画


形見を誰に分けるかを決めるために、優先順位を決めます。「故人に特に近しかった人」や「形見に強い希望を持つ人」を優先するのが良いでしょう。

また形見分けが公平に行われるように、全員の意見を反映させることが大切です。形見の数や価値に応じて、公平な分配方法を考えましょう。

3.実際に形見を分ける


形見を手渡す際には、感謝の気持ちや故人への想いを込めて行いましょう。
また形見分けを正式な儀式として、お寺や神社で行うこともあります。その際にはそれぞれの作法に従います。

形見分けのタイミング

・仏教:四十九日法要


仏教では、最後の忌日法要である四十九日法要を終えた後に、形見分けをするのが一般的です。四十九日は「忌明け」に当たるため、遺族が喪に服す期間を終え、日常生活に戻るタイミングで形見分けをします。

・神道:三十日祭または五十日祭


神道では「三十日祭」もしくは「五十日祭」が先述の忌明けに当たります。神道では、三十日祭又は五十日祭に形見分けするのが一般的です。

・キリスト教:追悼ミサ


キリスト教には形見分けの習慣がないため、明確な決まりはありません。ただ形見分けをする場合は、30日目の追悼ミサで行われるそうです。

ネックレス

形見分けのマナー

形見の品は、故人が愛用していたものや、思い出深いものがほとんどです。
しかし日常的に使っていたり長く保管していた場合、壊れていたり劣化している可能性もあります。いくら強い想い入れがあるといっても、そのようなものを渡すのは避けた方が無難です。

・手入れをしてから渡す


形見は、渡す前に手入れをして綺麗な状態にしておきましょう。服やメガネ、アクセサリーなどは、身に着ける機会が多かった分汚れやすいものです。
服はクリーニングに出し、メガネやアクセサリーはよく磨いて渡すようにしましょう。

また時計や万年筆など、メンテナンスが必要なものは、適切に使えるか予め確認しておきましょう。

・生き物、現金や高価なものは避ける


生前飼っていたペットを形見分けするのは、受け取った相手が困る場合がほとんどです。事前に約束するのはもちろん、相手がペット可の物件に住んでいるか、ペットを飼える状況なのか確認しましょう。

また、現金は財産分与に相当するため形見分けできません。
そして高額なものは、相続税や贈与税の対象になる可能性があります。
渡された側が負担に感じたり、金銭トラブルに発展したりするかもしれません。
形見の価値を事前に調べ、相手の負担にならないものを渡しましょう。

価値があるか判断できないものは、安易に形見分けせず、鑑定してもらった方が安心かもしれませんね。

・形見はそのままか、半紙に包む


形見を渡す際は、包装せずそのまま渡すのがマナーとされています。
もしそのままの状態に抵抗があるなら、半紙で軽く包むのが良いでしょう。
また仏教では「遺品」、神道では「偲ぶ草」と表書きに書くと丁寧です。

メガネ

形見分けの注意点~故人の想いを大切に

形見分けをする際「誰が何をもらうのか」で揉めるトラブルが多いと言われています。

特に金銭的な価値のある形見には、注意が必要です。
そのような形見は、故人と血縁関係が深い人から順番に渡すと納得してもらえるでしょう。また、全員欲しいと望んでいて不満の種になりそうな形見は、棺に入れてしまうのもひとつの手段です。故人と一緒に形見を旅立たせるという名目で、事態を納められます。

反対に、用途がよくわからないものや、一般的にガラクタと呼ばれる類のものは形見に適しません。特に友人や知人に譲ることは避けましょう。「要らないものを押し付けられた」「失礼で非常識な行為だ」など、相手に不快な印象を与えてしまう恐れがあります。

しかし遺言書やエンディングノートに記載があった場合は、何よりも故人の気持ちを尊重することが大切です。

関連記事:【終活を始めよう~遺言書とエンディングノートの作成~

関連記事:【終活での生前整理~財産目録や遺言書を作成して相続トラブルを防止~

また故人の思い出のものではあるものの、どうしても残すのが難しい場合や受け取る人が見つからないこともあるでしょう。形見だからといって、無理に残す必要はありません。故人の強い想いが込められたものは「お焚き上げ」で供養すると良いでしょう。

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形見分けは生前深く関わってきた人たちと共に、故人と向き合って冥福を祈ることでもあります。相応な人に形見を受け継いでもらえれば、故人も心安らかに眠れるでしょう。

まとめまとめ

1.故人が生前愛用していたり、想いが詰まっているものを形見と言い、故人を偲び供養することを目的としているもの

2.形見分けの手順は、形見の選定をし誰に分けるを決め仏教では四十九日法要、神道では三十日祭または五十日祭に渡すことが一般的とされている

3.形見分けのマナーとして手入れをしてから渡したり、生き物、現金や高価なものは避けることが挙げられる

4.形見分けは生前深く関わってきた人たちと共に、故人と向き合って冥福を祈ることでもある

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