死後の手続き①~家族が亡くなったら何をする?~

執筆者:Tomo

死後の手続き①~家族が亡くなったら何をする?~

目次

家族が亡くなった後の手続きと重要性

大切な家族や親族が亡くなった際、大変なのは葬儀の準備だけではありません。

故人の死後の事務処理をすることも、とても重要になってきます。
特に役所への手続きには期限が定められているものも多く、適切に申請をしないと、その後の生活に支障が出る場合があります。

そして、その手続きは故人の身近にあった遺族が引き受けなければなりません。

また手続きを忘れることによって、遺族にとって経済的、法的、精神的な負担が掛かります。さらにトラブルや罰則を避けるためにも、手続きを確実に行いましょう。

死後に必要な重要な手続き~期限付き

1. 死亡診断書の取得


医師が死亡を確認し、死亡診断書を発行します。全ての手続きの基本となる大切な書類です。これを取得しないと、公式に死亡が確認されず、以降の全ての手続きを進めることができません。

2. 死亡届の提出


死亡診断書を持って、死亡届を故人の本籍地、死亡地、届出人の居住地の市区町村役場に提出します。提出期限は死亡が確認された日を含めて、7日以内(国外にいる場合は3カ月以内)です。

死亡届は、戸籍法で期限が定められていて、期限を過ぎてしまうと5万円以下の過料が発生する場合があるので気をつけましょう。

また死亡届は、生命保険の支払い申請の際にコピーの提出が求められることがあります。あらかじめコピーを複数枚とっておくと良いでしょう。

必要なもの:医師による死亡診断書(警察による死体検案書)、届出人の印鑑

3. 火葬、埋葬許可証


死亡届の提出の際に「火葬許可申請書」も一緒に提出します。その後「火葬許可証」が発行され、火葬できるようになります。火葬の終了後には、火葬場から「埋葬許可証」が発行されます。もし、分骨することが決まっていれば、この時点で火葬場から「分骨証明書」を貰うようにしましょう。

必要なもの:火葬許可申請書

関連記事:【分骨手続きのポイント~手順から注意点まで~

4.年金受給停止


故人が年金受給者だった場合は、受給停止手続きが必要になります。
「年金受給権者死亡届」を社会保険事務所や市区町村の国民年金課などの窓口に提出します。提出期限は厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内です。

ただし、マイナンバーの届け出状況などによっては手続きが異なる場合があります。確認しましょう。

必要なもの:年金受給権者死亡届、年金証書、死亡の事実を明らかにできる書類(死亡診断書コピーや、死亡の記載がある戸籍)など

5.各種保険の資格喪失手続きと保険証返納


日本では、国民全員に対して公的な医療保険に加入する義務が定められています。そのため故人の保険の資格喪失手続きと保険証の返納を行う必要があります。

・国民健康保険に加入していた場合


死亡後14日以内に、故人の居住地だった市区町村役場に「国民健康保険資格喪失届」と必要書類を提出して、保険証を返納します。市区町村によっては、死亡届を出せば保険の資格喪失手続きは不要になる場合もあります。

・社会保険に加入していた場合


死亡後5日以内に、加入先の保険組合に「被保険者資格喪失届」と必要書類を提出して、保険証を返納します。会社に手続きを行ってもらえる場合が多いので、まずは加入先や勤務先などに連絡を入れ必要な手続きを確認しましょう。また、扶養に入っている人も同様に資格を失うので、こちらは死亡後14日以内に、国民健康保険への切り替えが必要になります。

・後期高齢者医療制度に加入していた場合


死亡後14日以内に「後期高齢者資格喪失届」と必要書類を提出して、医療保険証を返納します。住所を老人ホームに移していた場合は、老人ホームの住所を管轄する市区町村役場に提出します。

・介護保険に加入していた場合


死亡後14日以内に「介護保険資格喪失届」を提出して、介護保険証を返納します。

必要なもの:各資格喪失届、保険証、死亡の事実を明らかにできる書類(死亡診断書コピーや、死亡の記載がある戸籍)など

6.世帯主変更届


死亡後14日以内に「世帯主変更届」を故人の居住地だった市区町村役場に提出します。
しかし次に世帯主になる人がいなかったり、世帯に誰も残っていない場合などには手続きは不要です。また地域によっては別の書類が必要になる場合もあります。予め役所窓口に確認しましょう。

必要なもの:世帯主変更届(住民異動届)、届出人の本人確認書類、印鑑、委任状など

7.葬祭費、埋葬料の請求


・葬祭費の請求

故人が国民健康保険または後期高齢者医療制度に加入していた場合、葬儀の喪主に葬祭費が支払われます。葬儀を行った日の翌日から2年以内に、居住地の市区町村役場に「葬祭費支給申請書」と必要書類を提出し申請します。

・埋葬料の請求

故人社会保険に加入していた場合、埋葬を行った人に5万円支払われます。保険の加入先に「埋葬料支給申請書」と必要書類を提出し申請します。また会社が手続きを行う場合もあるため、勤務先に連絡して手続き方法を確認しましょう。

期限は、死亡後翌日から2年以内ですが、保険証を返納するタイミングと合わせて行うと良いでしょう。

必要なもの:支給申請書、埋葬や葬儀を行ったことが確認できる書類(領収書)、故人の健康保険証、申請者の本人確認書類、受け取り金融機関の通帳など

8.高額療養費の支給申請


月の医療費負担が一定の上限を超えた場合、超過分が払い戻しとなる制度を「高額医療費支給制度」と言います。この制度により、生前に高額な医療費を負担した場合には、超過分の支給申請が可能です。

医療費の支払いから2年以内に、支給申請書と必要書類を提出し申請します。

必要なもの:高額療養費支給申請書、医療費の明細書、故人との関係が分かる戸籍謄本など

9.生命保険の死亡保険金請求


故人生命保険(死亡保険)に加入していた場合は、保険の受取人が「死亡保険金」を受け取ることができます。死亡後翌日から3年以内に、加入先の保険会社の案内に沿って手続きを行いましょう。

必要なもの:所定の請求書、保険証券(証書)、故人の住民票、死亡診断書、受取人の本人確認書類など

事務手続きのイメージ

死後に必要な重要な手続き~原則期限なし

役所手続きの他、公共料金や有料サービスの解約、免許証やパスポートの返納手続きなども必要になります。

基本的に期限はありませんが、放置しておくと料金が発生する可能性があります。
また引き続き利用する場合にも、故人の口座が凍結されると強制的に停止されてしまうこともあるので、忘れずに手続きをしましょう。

・公共料金(電気・ガス・水道など)の解約、名義変更

故人の名義で公共料金を支払っていた場合、引き続き利用する場合は名義変更、使用しない場合は解約手続きをします。電気は電力会社、ガスはガス会社、水道は市区町村に連絡をして手続きを行います。

・電話(固定・携帯)の解約、承継

サービスの提供会社によって異なりますが、電話、店頭、インターネットで手続きが可能です。料金の支払い履歴から契約先を確認し、解約または承継を行いましょう。
また事前にバックアップを取っておくと良いでしょう。

・インターネットの解約、名義変更

故人がインターネットの契約をしていた場合、引き続き利用する場合は名義変更、使用しない場合は解約手続きが必要になります。契約先に連絡を入れ手続きを行います。
ただし、マンションで予め引かれている回線を利用していた場合は、プロパイダとの手続きだけで完了します。

・クレジットカードの解約

クレジットカードは相続できないので、必ず解約が必要です。カードの裏面や支払い履歴などから契約しているカード会社を確認し、亡くなったことを伝えて解約手続きを行います。もし未払い金がある場合には、相続人が支払わなければなりません。

・運転免許証の返納

免許証の効力は、持ち主が亡くなると自動的に失われるので、返納の義務はありません。しかし返すのが一般的です。運転免許更新センターまたは警察署に置かれている「運転免許証返納届」に必要事項を記入し、必要書類と一緒に提出します。

・パスポートの返納

パスポートの効力も、持ち主が亡くなると失われますが、旅券法により遅滞なく返納することが原則となっています。全国のパスポートセンターに置かれている「返納届」に必要事項を記入し、必要書類と一緒に提出します。

免許証やパスポートは返納しなくても罰則はありませんが、身分証なので、安全面を考慮し返納することをオススメします。

関連記事:【エンディングノートで遺族をサポートしよう~故人のスマホ・サブスクの解約手続き~

パスポート

確実に行う死後の手続き~故人を偲ぶために

死後の手続きは、遺族にとって重要であり避けられないものです。

しかし手続きを自力で行うのはとても大変なことです。特に、大切な人を失った直後では、悲しみに暮れ、手続きや書類の準備は大きな負担になるでしょう。

そのような場合、行政書士や司法書士といった専門家に相談することも良いでしょう。
専門家は手続きを理解しているので、必要な書類の準備や提出をスムーズに進めるサポートをしてくれます。そして手続きにかかる時間や労力を減らし、正確に進められ、ミスも防ぐことができるでしょう。

このようなサポートは、遺族が精神的に余裕を持ち、故人を偲ぶ時間を十分に持てることにも繋がります。そして安心して故人を見送ることができます。

死後の手続きを正確に行うことは、故人を尊重し、遺族の生活を守るために欠かせないものです。故人を大切に想い、遺族が前向きに生きていけるよう、必要な手続きを確実に行うことが重要です。そして故人への感謝を忘れずに、新たな生活へと踏み出しましょう。

まとめまとめ

1.大切な家族や親族が亡くなった際、葬儀の準備だけではなく役所への手続きも重要

2.死亡診断書は全ての手続きの基本となる大切な書類であり、これを取得しないと、公式に死亡が確認されず、以降の全ての手続きを進めることはできない

3.免許証やパスポートは返納しなくても罰則はないが、身分証なので、安全面を考慮し返納することを勧める

4.大切な人を失った直後では、悲しみに暮れ、手続きや書類の準備は大きな負担になるため、専門家に相談することも良いでしょう

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