墓じまいの補助金・助成制度とは?市川市・浦安市・太田市の例と費用を抑えるポイント【2026年版】

執筆者:Tomo

墓じまいの補助金・助成制度とは?市川市・浦安市・太田市の例と費用を抑えるポイント【2026年版】

目次

墓じまいにかかる費用と、増え続ける改葬

「お墓が遠くてなかなか行けない」「継ぐ人がいない」「子どもに負担を残したくない」――そんな理由から、墓じまいを選ぶ人が年々増えています。

墓じまいとは、今ある墓石を撤去して区画を更地に戻し、墓地の使用権を寺院や霊園に返すことです。取り出したご遺骨は、別のお墓や納骨堂、散骨などへ移す「改葬」を行います。鎌倉新書は厚生労働省の統計を引く形で、年間の改葬件数が約17.6万件と過去最多になり、この10年で約2倍に増えたと紹介しています。

気になるのが費用です。墓石の撤去・処分費、閉眼供養(魂抜き)のお布施、寺院墓地の場合の離壇料、そして改葬先の費用などがかかります。鎌倉新書の「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年)」では、実施費用は「31万〜70万円」が最多で、約半数が70万円以下だったとされています。ただし、お墓の大きさや立地、改葬先によって金額は大きく変わります。

関連記事:【墓じまいの費用と方法~墓じまい後の供養まで~】

こうした費用負担を少しでも軽くするために、公営墓地を対象に「補助金・助成制度」を設けている自治体があります。全国どこでも使える制度ではありませんが、対象になる方にとっては大きな助けになります。

外貨

墓じまいの補助金・助成制度がある自治体の例

ここで紹介する制度は、いずれもその自治体が運営する公営墓地の使用者が対象です。民営霊園や寺院墓地の墓じまいには使えない点に注意しましょう。

・千葉県市川市:市川市霊園一般墓地返還促進事業


【市川市霊園一般墓地返還促進事業】は、市川市霊園の一般墓地を使っていて、お墓を継ぐ親族がいない方や管理に不安がある方を対象に、墓地を返す際の原状回復(更地化)費用を助成する制度です。助成限度額は墓地の種別ごとに次のとおりです。

第1種

普通墓地

4.0平方メートル

240,000円

芝生墓地

4.0平方メートル

75,000円

第2種

普通墓地

6.0平方メートル

290,000円

第3種

普通墓地

12.0平方メートル

440,000円

第4種

普通墓地

2.5平方メートル

210,000円

芝生墓地

2.5平方メートル

75,000円

第5種

芝生墓地

1.5平方メートル

75,000円

このほか、納めた墓地使用料の一部返還や、返還を条件に市川市霊園合葬式墓地へ公募以外で申し込める特例もあります。なお、同事業は2026年5月に予算額に達して受付を終了し、補正予算の承認を受けて9月に受付を再開しています。予算がなくなり次第終了となるため、最新の受付状況を必ず確認しましょう。申請は市川市霊園管理事務所の窓口のみで受け付けています。

・千葉県浦安市:墓所返還者等支援事業


【墓所返還者等支援事業】は、浦安市墓地公園の通常墓所(3.0平米)または小型墓所(1.5平米)の使用者が対象です。墓石の撤去など原状回復にかかった費用について、返還後に上限15万円の補助金が交付されます。さらに、墓所に納めているご遺骨の改葬先として合葬式墓地(合祀室)を使用料の負担なく使える「合祀室改葬等許可制度」もあり、両制度を併せて申請することもできます。申請は市役所の環境衛生課へ、直接または郵送で行います。

・群馬県太田市:八王子山公園墓地 墓石撤去費用助成金


太田市では、市営の【八王子山公園墓地】の無縁墓地対策として、墓地を返す際の墓石撤去費用を助成する制度を設けています。市の概要資料によれば、返還届を提出して墓石の撤去を終え、管理料の滞納がない方が対象で、助成額の上限は20万円(祭祀費用は除く)とされています。

このほかにも、公営墓地を返すと使用料の一部が還付される制度や、東京都立霊園のように返還時の原状回復義務や合葬施設の使用料を免除する特例制度を設けているところもあります。ご自身のお墓が公営墓地にある場合は、まず管理する自治体の窓口に問い合わせてみましょう。

制度の内容は2026年9月時点で各自治体の公式サイトをもとに確認したものです。補助金・助成金は予算や期間によって受付状況が変わるため、必ず各自治体で最新情報をご確認ください。

墓じまいの申請書類

なぜ自治体が墓じまいを支援するのか~無縁墓という課題

墓じまいは個人や家族の事情で行うものですが、なぜ自治体が費用を助成するのでしょうか。最大の理由は、管理する人がいなくなった「無縁墓」を増やさないためです。

背景にあるのは、急速な少子高齢化です。厚生労働省の【令和7(2025)年人口動態統計月報年計(概数)】によると、2025年の出生数は67万1,236人で過去最少、死亡数は158万9,489人で、死亡数が出生数の2倍以上にのぼっています。お墓を受け継ぐ世代が減るなかで、承継者のいないお墓は今後も増えると考えられます。

総務省が2023年9月に公表した【墓地行政に関する調査】では、公営墓地で無縁墓が増えている実態や、その解消の難しさが明らかになりました。無縁墓を整理するには「無縁改葬」の手続きが必要ですが、祭祀を承継する人がいないと断定できず判断に迷ったり、撤去した墓石の保管場所が確保できなかったりといった課題を抱える自治体があることが報告されています。

この結果を受けて総務省は厚生労働省に対し、縁故者の連絡先を事前に把握している事例や、無縁改葬後の墓石の扱いに関する事例を整理して自治体に提供するなど、支援を行うよう求めました。無縁墓になってから対応するよりも、使用者が元気なうちに返還してもらうほうが、自治体にとっても利用者にとっても負担が少ない――墓じまいの助成制度には、そんな考え方があるといえます。

関連記事:【無縁墓になる前に墓じまいを考えてみませんか?】

補助金がなくてもできる、墓じまいの費用を抑えるポイント

補助金制度が使えるのは一部の公営墓地に限られます。対象外の方も、次のポイントを押さえることで費用を抑えやすくなります。

・撤去工事は複数の業者から見積もりをとる


墓石の撤去費用は業者によって差が出ることがあります。複数社の見積もりを比べることで、相場観もつかめます。ただし、寺院墓地や民営霊園では工事できる石材店が指定されている場合もあるため、先に管理者に確認しておきましょう。

・寺院とは早めに丁寧に相談する


寺院墓地の場合、離壇料をめぐってトラブルになるケースも報じられています。いきなり「墓じまいします」と伝えるのではなく、これまでの感謝と事情を早めに相談することが、円滑に進める近道です。

関連記事:【墓じまいで起きる裁判とトラブル】

・改葬先を比較して選ぶ


墓じまい後のご遺骨の行き先には、一般墓、納骨堂、樹木葬、合祀墓(永代供養墓)、散骨などがあります。合祀墓は他の方のご遺骨と一緒に埋葬するため費用を抑えやすく、散骨はお墓を建てる必要も管理費もかかりません。ただし、どちらも後からご遺骨を取り出すことはできません。費用だけで決めず、ご家族の想いも含めて十分に検討しましょう。

関連記事:【墓じまいと散骨に関する必要な手続きと費用】

まとめ~元気なうちに家族で話し合う

墓じまいの費用を助成する制度は、まだ一部の自治体の公営墓地に限られています。それでも、対象となる方にとっては数十万円単位で負担が軽くなる可能性があります。まずはご自身のお墓がどこにあり、誰が管理しているのかを確かめることから始めてみましょう。

お墓は、亡くなった人と向き合う大切な場所です。「これからどうしたいか」を、元気なうちに家族や親族と話し合っておくことが、後悔のない墓じまいにつながります。

関連記事:【墓じまいに罪悪感を感じていませんか?―「故郷じまい」しても消えない絆と、また会いに行ける供養のかたち】

参考:
市川市霊園一般墓地返還促進事業(市川市)
墓所返還者等支援事業(浦安市)
八王子山公園墓地(太田市)
令和7(2025)年人口動態統計月報年計(概数)の概況(厚生労働省)
墓地行政に関する調査(総務省)
【第4回】改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年)(鎌倉新書)

まとめまとめ

1.改葬件数は年間約17.6万件で過去最多とされ、墓じまいの費用は31〜70万円が最多という調査結果がある

2.市川市・浦安市・太田市などでは、公営墓地を返す際の墓石撤去・原状回復費用を助成する制度がある

3.制度の対象はその自治体の公営墓地の使用者で、予算により受付が終了・再開されることもある

4.自治体が支援する背景には、少子高齢化で増える無縁墓と、その解消の難しさがある

5.補助金がなくても、相見積もり、寺院との早めの相談、改葬先の比較で費用を抑えやすくなる

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