墓じまいの費用と方法~墓じまい後の供養まで~

執筆者:Tomo

墓じまいの費用と方法~墓じまい後の供養まで~

目次

急増している墓じまい

近年の人口減少や少子高齢化、核家族化に伴い、急速に「墓じまい」が進んでいます。墓じまいとは、今あるお墓を解体・撤去して、新しい場所や方法で供養することです。

今までお墓とは先祖代々受け継ぐものでしたが「お墓の継承者がいない」「子供に負担を掛けたくない」「遠くのお墓を管理できない」などの理由で、墓じまいをする人が増加しています。

しかし、墓じまいといっても何からどのように行えば良いのかわからない人もいるでしょう。また墓じまい後、お墓から取り出した遺骨はどのように供養すれば良いのかも悩むかもしれません。今回は墓じまいの一連の流れや費用、墓じまい後の供養方法について解説していきます。

孤島の墓

墓じまいの流れと費用~今すぐできる準備とポイント

墓じまいの流れや必要となる書類、墓じまいに掛かるおおよその費用をご紹介します。

墓じまいの一連の流れ

1.家族や親族に相談する


まずは墓じまいすることを家族や親族に相談します。墓じまいには高額な費用がかかるため、自分の判断だけで行った場合に、後から親族間でトラブルに発展するケースも少なくありません。また墓じまいをすることで、お墓参りができなくなってしまうことから、現在のお墓を維持したいと考える人もいます。事前に家族や親族の了承を得ておきましょう。

2.現在の墓地管理者やお寺に相談する


所有するお墓の管理者へ相談します。墓じまいをすることの了承が得られないと手続きを進められません。また、自分が檀家の場合は離断することになるため、お寺の収入源が減り運営に大きく関わってきます。お世話になったお寺とトラブルにならないためにも、墓じまいする旨を予め伝えておきましょう。

3.新しい供養方法を決める


家族や親族、お墓の管理者への連絡が終わったら、新しい供養先を決めます。どのようなかたちで供養したいか、予め候補を考えておきましょう。また、お墓の種類や費用などの具体的なイメージがあると素早く決めることができます。墓じまい後の供養方法の例として、最近では樹木葬や散骨などの自然葬が人気です。

4.墓石の解体を石材店に依頼する


墓石の解体・撤去を依頼する業者を決めます。一般的に石材店に依頼することになるでしょう。また、解体・撤去費用が高額になる場合があるため、契約前に見積もりを出してもらいましょう。複数の石材店に見積もりを依頼して金額を比較すると、費用相場がわかります。しかしお墓の場所によっては石材店が指定されていることもあるため、お墓の管理者に確認しましょう。

5.墓じまいに必要な行政手続きをする


墓じまいの許可を受けるために、お墓がある自治体で書類の手続きをします。墓じまいには法的な手続きが必要なため、自治体へ申請をしなければなりません。そして、お墓を別の場所に移すための許可証明である「改葬許可証」を発行してもらいましょう。

6.閉眼供養をして遺骨を取り出す


閉眼供養とは、お墓に眠っている先祖や故人の魂を通常の状態に戻す儀式です。お世話になっている菩提寺があればそちらに依頼でき、ない場合は近くのお寺に依頼することが可能です。閉眼供養は事前にできるため、墓石の解体・撤去工事の当日ではなく1週間ほど前に済ませることもできます。

7.墓石の解体・撤去


墓石の解体・撤去の工事を行います。作業の立ち会も可能です。墓石を置いていた場所を更地にして返還します。不完全な状態で返還すると後からトラブルが発生する恐れがあるため、最後によく確認しておきましょう。

9.新しいお墓で遺骨を供養する


予め決めておいた新しいお墓に遺骨を納めます。遺骨を運ぶ際、骨壷が壊れないように注意しましょう。また公共交通機関を利用する際は、他の乗客に配慮しながら運びましょう。骨壷用の持ち運びバッグもありますので、そちらを利用するのも良いでしょう。

墓じまいに必要な書類

・改葬許可申請書


墓じまいをする際、お墓がある自治体の許可が必要です。勝手に遺骨を取り出すことは認められていないため注意しましょう。まずお墓がある市区町村役場で改葬許可申請書を入手し必要事項を記入します。遺骨1柱につき1通必要です。自治体によっては、ホームページから書式をダウンロードできる場合があります。

・埋葬証明書


お墓を管理しているお寺や霊園から発行してもらいます。お墓がある場所が市営墓地の場合は「墓地使用許可証」が埋葬証明書の代わりになります。

・改葬承諾書


現在墓地を使用している人と改葬許可申請者が異なる場合に必要になります。

・遺骨の受入証明書


受入証明書とは、新しい改葬先での遺骨の受け入れを証明する書類です。改葬先の管理者の名前や住所などを記入し、捺印してもらいます。

・身分証明書


改葬許可の申請をする際、申請者の本人確認ができる身分証明書の提示が必要です。郵送の場合には身分証明書の写しを同封しましょう。

・改葬許可証


自治体に以上の書類を提出します。その後改葬許可証が発行されます。しかし墓石の解体・撤去をする日までに発行が間に合わなければ、工事自体ができません。また即日発行できない場合もあるため、時間が掛かることを想定して早めに申請しましょう。改葬許可証は遺骨を移転先に納骨する際に必要になる大切な書類です。紛失しないように注意しましょう。

墓じまいにかかるおおよその費用

墓じまいの総額費用の平均は30~300万円程度と言われています。しかしお墓の規模や離檀料によって変わってきます。

・墓石の解体・撤去費用


墓地1平方メートルあたり10万円程度と言われています。しかし墓地の敷地が広かったり、墓石が特殊な場合は追加料金が発生する場合があります。事前に複数の業者の見積もりを必ずとりましょう。高額請求のトラブルを防ぐことができます。また、遺骨の取り出しを一緒に行ってくれる業者もあります。その場合別途料金の請求もあるため、そちらも金額を確認しましょう。

・閉眼供養料


3~5万円程度が相場とされています。いくら包むか迷った時は、お寺に相談してみると良いでしょう。また閉眼供養を行うことが決まった時点で、菩提寺へ連絡をしておくようにしましょう。

・離檀料


現在のお墓の菩提寺から離れる場合の離檀料は3~20万円程度が相場となっています。事前にお墓の菩提寺に聞いておきましょう。離檀料の支払いの義務はありませんが、自身の気持ち次第です。

しかし墓じまいが増加している影響から、お寺は檀家料やお布施といった収入が減り、経営が悪化してきています。そして、閉眼供養料や離檀料を法外で高額な金額を請求されるトラブルが起きています。閉眼供養も必ず行わなければならないものではありませんし、檀家料も無理に支払う必要はありませんので注意しましょう。

関連記事:【霊園やお寺の経営危機~理由から改葬先まで~

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・書類の発行費用


100~1000円程度発生します。自治体によって金額が変わるため、事前に調べておきましょう。

墓じまいを代行してくれる!?

墓じまいをしたいと思っていても「自分で行うのは大変そう」「仕事や家事などで時間が確保できない」という場合もあるでしょう。その際、墓じまいを代行してくれる業者に依頼すると、効率よく墓じまいができるのです。

先にも述べましたが墓じまいを行うためにはお寺との交渉、お墓から遺骨を取り出す手配、必要な書類を集めたり手続きが必要です。しかしこれらのことを業者が代わりに行ってくれるので、最低限の手間や時間だけで墓じまいを行えます。代行業者に頼んだとしても、墓じまいの流れ自体は変わりません。

また墓じまい代行業者に依頼した場合の費用相場は以下のようになります。

依頼内容

費用相場

墓じまいの全てを代行

約16万円〜30万円

手続き代行

約4万円〜

遺骨の取り出し〜新しい改葬先への納骨代行

約7万円〜

遺骨の一時預かり代行

約1万円

遺骨の移送代行

約2万円+交通費など

なるべく費用を抑えたい場合は、墓じまいの全工程を依頼するのではなく、自分で出来そうなことは自分で行うと良いです。業者によりますが、墓じまいの全工程のうち、一部だけを請け負ってくれる業者もあります。依頼する内容について、事前によく検討しておくと良いでしょう。

また稀に高額金額を請求してくる代行業者もあります。お墓の形や土地の大きさによっては墓じまいの費用も変わりますので、複数の業者に見積もりを依頼して、費用相場を比較しましょう。逆にあまりにも費用が安い代わりに、サービスが充実していない場合もあります。事前に確認しておきましょう。

電卓

墓じまい後の改葬先〜お墓のサブスクや散骨

墓じまいをし、取り出した遺骨をどうしようか悩む人もいるでしょう。

墓じまいをするきっかけのひとつとして「お墓を継承してもらうのは子供の負担になる」という理由があります。先祖代々受け継いできたお墓の場合、そのお墓をどのように守っていくのかを考えなければなりません。それは守っていく責任があるということでもあり、その部分での負担になるということです。

そのようなことからも、子供の負担もなく継承者不要のお墓が人気となっています。

最近需要が増えているのがお墓のサブスクです。音楽や洋服なども月額課金制で利用できますよね。同様に、月額料金を払ってお墓もレンタルできる時代になりました。新品の墓石をレンタル(月額約7000円〜)したり、墓石と骨壷を兼ね合わせ移動もできる小さなお墓などがあります。初期費用と毎月定額の費用で13回忌までの法要と維持管理がついてくるものもあるそうです。レンタルなので好きな時に解約することができます。気に入れば購入もできます。

関連記事:【お墓のサブスクとは~レンタル墓・サブスク墓のメリットとデメリット~

また散骨という自然葬も人気になっています。散骨とは遺骨を自然に還すことです。
墓石のようにはっきり墓標となるものはありませんが、海や森といった自然に手を合わせることもでき、お墓を守らなければいけないという負担もありません。

墓じまい後に散骨する場合、お墓から別のお墓に移動するという改葬の定義に当たらないため、改葬許可証が発行できないという場合が多いです。自治体によって手続きや規定も異なるため、事前に問い合わせしておきましょう。

関連記事:【墓じまいと散骨に関する必要な手続きと費用

また墓じまい後に故人や先祖代々の遺骨を自分で散骨しようと思っても、どこでどのように散骨して良いのかわからない場合もあります。そして日本では法律では禁止されていませんが、地域の条例によっては規制されているところもあるので注意しましょう。

関連記事:【自分で散骨を行う際の手続きと注意するポイント

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散骨を行う際に不安を感じる場合には、墓じまいを代行で行ってくれる業者のように、散骨を代行してくれる業者に依頼するのも一つの手段でしょう。

また散骨をすることで、その場所がお墓参りや供養ができる場所になり、遺族にとって思い入れのある場所にもなります。自身の「憧れの場所」「一度訪れてみたかった国」などで散骨することによって、遺族でお墓参りと旅行を兼ねた「供養の旅」をすることができます。家族や親族の親睦も深まるでしょう。

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お墓とは墓石のことではありません。亡くなった人の冥福を祈り、故人を偲ぶ「場所」のことです。墓じまいをすることで子供や孫の負担を無くし、そして子供や孫が供養の旅で「お墓参りに出掛けるのが楽しい」と思うようなお墓を選ぶのも良いですね。

まとめまとめ

1.近年人口減少や核家族化に伴い、墓じまいが急速に進んでいる

2.墓じまいの手順は1~9の方法で行われ、墓じまいをするための書類を集め自治体に提出が必要、また墓じまいの平均費用は30~300万円程度と言われている

3.墓じまいを代行してくれる業者がある

4.墓じまい後の改葬先や供養方法として、お墓をレンタルしたり散骨という子供の負担にならない継承者不要のお墓が人気

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