無縁遺骨の増加と終活の重要性

執筆者:Tomo

無縁遺骨の増加と終活の重要性

目次

無縁遺骨の増加に伴う社会問題

近年、引き取り手のない遺骨「無縁遺骨」が全国で増加しています。
無縁遺骨とは、様々な理由で引き取り手が誰もいない遺骨のことです。

無縁遺骨は、以前は身元不明の行旅死亡人や、親族が遠方に住んでいるなどの理由で引き取り手が見つからない遺骨がほとんどでした。しかし近年では、高齢化や核家族化、社会の孤立化などの影響で、身元がはっきりしている人でも無縁遺骨になるケースが増えています。また家族や親族がいても引き取られない遺骨が増加しているのです。

「親族の顔もわからないくらい疎遠」「経済的に余裕がなくお墓を建てることができない」「孤独死や自死だった」などという理由から、家族や親族が遺骨を引き取りに来ないケースがあります。

そしてそのような無縁遺骨は自治体に引き取られますが、無縁遺骨を納めるための場所が満杯になってしまう自治体もあることから、近年では社会問題となっています。全国の自治体で最も無縁遺骨の保管数が多いのは大阪市で、ここ30年で10倍に増えたそうです。

また遺骨の引き取りだけではなく、遺体の火葬をしたり納骨したりする人がいない場合も、自治体が行わなければなりません。

死体の埋葬、または火葬(かそう)を行う者がないときや、判明しないときは、死亡地の市町村長がこれを行わなければならない。出典:「墓地、埋葬等に関する法律第9条」

しかしその後の遺骨の取り扱いについては規定がありません。しかも原則的に火葬後は家族や親族が遺骨を引き取らなければなりませんが、火葬場で遺骨不要の申し出を行い手続きをすれば、遺骨の引き取りを放棄することができてしまいます。

無縁遺骨の増加は、単に遺骨の行き場がなくなるだけでなく、家族や親族、地域の絆の希薄化、費用負担の増大や遺骨の保管場所不足などの問題もあるため、自治体が対策に動き始めています。

行き場がなくなった無縁遺骨は「自治体の一室のキャビネットや倉庫」「葬儀社の保管室」「お寺の納骨堂」「遺品整理業者の倉庫」「老人ホームの無縁墓」などといった、様々な場所に保管されています。そして保管場所が満杯になった際の遺骨の取り扱いにも、自治体は苦慮しているそうです。

無縁遺骨が増えている理由

・高齢化や社会変化による孤独死・孤立死の増加


孤独死・孤立死とは、家族や親族、友人とも交流はあるけれど、誰にも看取られずにひとりで亡くなることを言います。そして超高齢化社会と言われている現代、無縁遺骨になりやすいケースはひとり暮らしの高齢者と言われています。

令和4年版高齢社会白書】によると、2020年の65歳以上のひとり暮らしをしている人の数は、約671万人で、これは40年前と比べると7倍以上にもなります。また、長生きする傾向として女性の方が約440万人と多いですが、男性でも約230万人います。
離別や死別、独身など理由はそれぞれあると思いますが、高齢の単身者が多いことは間違いないでしょう。

そして、結果的に親族が見つからず、代わりに自治体が火葬するケースが増えています。その後自治体によって親族を見つけ出すことができ、遺骨の引き取りを依頼する連絡をしても、引き取り拒否をされることが多いそうです。

・核家族化による家族構成の変化


遺骨を引き取らない理由として、故人と何十年も会ってないという疎遠であることも挙げられます。現代では核家族化が進み、親族が同じ地域に住むということが少なくなりました。そして親族が遠方に住んでいたり、ひとり暮らしが増加した影響もあります。また親の離婚によって長期間音信不通だった家族の遺骨を引き取りたくなかったり、中には身寄りが誰もいないという人もいます。

・経済的な負担


葬儀やお墓の費用を捻出できないことも理由にあります。葬儀や火葬を行う負担、お墓を新たに準備する必要がある場合、費用を賄うことができない場合もあるでしょう。

高齢化、核家族化で今後もこうした無縁遺骨が増えると予測されています。死後の弔いを誰がどのように担っていくべきか、社会全体で考えていく必要があると思います。

電卓

無縁遺骨にならないための終活

生前に自分の意思を伝えておきましょう。無縁遺骨となる人の多くは住民登録をしているし、葬儀のために預金を残している場合もあります。ただ頼りにできる身寄りがいないことで、誰かが生前の意思を聞いておき、その情報を伝達することができれば、本人が希望する最期を迎えられるでしょう。

・遺言書の作成


遺言書とは、自分が亡くなった後、法律上の形式に基づいて執行される文書です。遺言書には大きく分け「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の二つがあります。

自筆証書遺言は自分一人で書くことができます。しかし、間違った書き方をしてしまうと内容が執行されないことがありますので注意が必要です。

公正証書遺言は公証役場で作成する遺言です。二人以上の証人の立ち会いが必要ですが、原本は公証役場で管理されるので安心です。遺言は何度でも書き直すことができるので、事情が変わった場合には作成し直しましょう。

関連記事:【終活を始めよう~遺言書とエンディングノートの作成~

・死後事務委任契約


死後事務委任契約とは「自分の死後に行わなければならない手続きを第三者に委任する契約」のことです。

具体的な内容として葬儀・納骨手続き・遺品整理・相続などが挙げられます。葬儀を行うことや医療費や公共料金の支払い、年金受給の停止など様々な手続きを委任者が代わりにしてくれます。また死後事務委任契約を結ぶ際は、何を委任したいのか具体的な内容を契約書に記載しましょう。

また弊社では葬儀や納骨手続きに関する死後事務委任契約として「散骨の実施についての死後事務委任契約」をご本人様と直接結ばせていただくことが可能となっています。
また死後事務委任契約をご案内する場合でも追加料金は発生しません。

関連記事:【自分の散骨代行は予約できる?終活から考える散骨の死後事務委任契約

関連記事:【孤独死・孤立死を防ぐために~終活としてエンディングノートの活用~

・生前契約


生前契約とは、身寄りがいない人や身寄りがいても負担をかけたくない場合、元気なうちに自分の意思で受託者と契約することです。具体的な内容として入院の手続き・財産の管理・精算・葬儀・遺骨の安置や埋葬などが挙げられます。遺品や生活用品などの残務整理を契約する場合もあります。

生前契約は主に「財産管理委任契約」「任意後見契約」「尊厳死宣言」の三種類があります。

「財産管理委任契約」

財産管理契約とは、身体が思い通りに動かなくなった際に、金融機関や行政機関での手続きや支払いを代行する契約です。また病気になった際の入院手続や介護関係の手続きを行う契約も結べます。

「任意後見契約」

任意後見契約とは、自身の判断能力が低下してしまった場合に、財産管理や療養看護に関する手続きについて予め選んだ任意後見人に任せることです。

「尊厳死宣言」

尊厳死宣言とは、無理な延命を希望しない限り自然な死を受け入れるというものです。どのような治療をどこまで受けたいかを予め公言しておきます。

・エンディングノートの活用


元気なうちにエンディングノートに、自分が亡くなった後はどうしたいかを書面でまとめておきましょう。具体的な内容として、病気治療・介護・財産管理・葬儀・相続などが挙げられます。市販のエンディングノートがあるので気軽に購入できます。まずは自分の希望を書き出してみましょう。

関連記事:【終活~最期に向けた散骨に対する想い~

商談

自治体が進める終活支援

現在、超高齢化多死社会であり、また家族や親族、地域の絆が希薄化している中、死後を誰に託すのか生前に決めておくことは大切なことです。自分のお墓があったとしても、納骨をしてくれる人がいなければそのお墓に入ることはできません。そのことを生前に認識せず「誰かがどうにかしてくれるだろう」と対策しないまま無縁遺骨となっているケースも多いのです。

そのような中、兵庫県神戸市は6月3日から「生きている間に葬儀や納骨の手続きを支援する事業」を始めました。身寄りがない人を対象にしたもので、葬儀や納骨について市が相談を受付け、本人と葬儀会社が生前契約を結ぶものです。65歳以上で年収が230万円以下などの所得制限を満たす人が対象で、葬儀の宗派や納骨先などの希望にも応じています。その結果、約2割の人が希望通り葬儀や埋葬の手続きを行えるようになったそうです。

また神奈川県横須賀市は既に先行して、本人の希望などを事前に聞く取り組みが行われています。横須賀市高齢者の孤独死や無縁遺骨対策の先進地であります。そのような横須賀市で行われているのが「わたしの終活登録事業」という行政サービスです。

高齢者の人たちが元気なうちに、以下のようなことを登録することを呼び掛けています。

・本籍や筆頭者
・身元保証事業者
・生前の意思の保管場所
・葬儀や遺品整理の契約
・お墓の所在地

こうした情報を登録しておくことによって、もしひとりで亡くなった場合でも、自分の意思は自治体に伝わっているので、その後の対応がスムーズになるということです。

さらに最近では死後に同じ墓に入る友達「墓友」を作ることが注目されています。核家族化により、家族がばらばらになっている状態で、夫婦どちらかが亡くなるとひとりになってしまいます。しかし墓友を作ることによって、みんなと共同墓地に入ろうと約束したり、合同お墓参りや食事会もあり「ゆるい繋がりを持つことは楽しい」ということから需要が増えています。墓友の中には身寄りがない人も多くいるそうで、孤独死や孤立死対策にもなります。家族や親族、地域の絆が希薄化した現代では、このような交流を持つことも大切ですね。

また無縁遺骨を引き取ったけれど、お墓を建てたり遺骨を維持管理することが難しい場合には「散骨」という方法もあります。散骨とは遺骨を海や森といった自然に還すことで、お墓を建てたり遺骨を維持管理する必要はありません。

また弊社ではスタッフが遺骨を直接受け取りに伺ったり、ゆうパックによる送骨サービスも承っております。受け取った遺骨は弊社が細心の注意と敬意を持って散骨いたします。

無縁遺骨になってしまうケースは誰にでも起こる可能性がある問題です。自分が死ぬ時期はわからないものですが、事前に備えたり対策できます。思い立った際に準備をしてみましょう。そして遺言書を作成したり、死後事務委任契約結ぶことは、死後の手続きがスムーズになるだけでなく、これからの人生をより安心して生活を送ることに繋がるでしょう。

まとめまとめ

1.近年引き取り手のない無縁遺骨が全国で増加している

2.無縁遺骨が増えている理由として孤独死・孤立死や核家族化の増加、経済的な負担などが挙げられる

3.無縁遺骨にならないために遺言書の作成や死後事務委任契約を結んでおくことが大切

4.自治体が支援している終活を始めたり、遺骨の供養方法として散骨を選択することは無縁遺骨の増加を防ぐ対策である

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