フィリピンのAll Saints Dayの風習
日本の伝統的な行事の「お盆」は毎年8月中旬に行われます。お盆の時期には、家族や親族が集まってお墓参りをしたり、故人や先祖を想う時間を過ごします。お盆は地域によって若干の違いはありますが、一般的には8月13日から16日までの4日間となります。
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そして、弊社の海外リゾート散骨エリアのひとつである「フィリピン」にも、故人や先祖を偲びお墓参りに行く期間があり、それは毎年11月1日と2日となっています。
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1日は「All Saints' Day」「諸聖人の日」「万聖節」というキリスト教の全ての聖人を記念し祝う日、2日は「All Souls' Day」「死者の日」と呼ばれています。この2日間は、日本でいうお盆のような位置づけのフィリピンの祝日であり、大々的に行われる伝統的なイベントなのです。
All Saints' Dayの夜になると、お墓の周りにテントを立てて、キャンドルやお花を飾り、ご飯を準備して家族みんなで一晩お墓で過ごします。それは2日のAll Souls' Dayまで続きます。
フィリピンでは、11月1日は故人や先祖の魂が家族のもとに帰ってくる、11月2日はその魂が天国へ帰っていくと信じられています。そのため、11月1日にその魂を迎えようと、ほとんどのフィリピン人は実家に帰省し、家族とお墓参りに行きます。
そしてAll Saints' Dayは会社や学校、公共機関、一部の観光地、レストランやお店などはお休みになります。この期間にフィリピンへ行く場合は、事前に確認することをおすすめします。
フィリピンのAll Saints Dayの起源と歴史
フィリピンの「All Saints' Day」はカトリック教会の伝統に由来した、全キリスト教で祝われる「諸聖人の日」、つまり「すべての聖人を祝う日」となっています。
All Saints' Dayの始まりは、キリスト教の初期と言われています。当時、キリスト教徒は信仰のために殉教した人たちを個別に祝っていました。しかし、ローマ帝国がキリスト教を迫害していたため多くの殉教者が出ました。そこで、全ての殉教者を一度に祝う日を制定することにしたのです。
そして4世紀頃、東方キリスト教会では6月13日に全ての殉教者を祝う日が決められ、祝われるようになりました。また西方キリスト教会(カトリック教会)でも、5月13日に「全殉教者の日」として祝われ、これが後に「すべての聖人を祝う日」に変更され、11月1日に移行したそうです。
731年、ローマ教皇グレゴリウス3世は、ローマのサン・ピエトロ大聖堂に「すべての聖人に捧げる礼拝堂」を設け、11月1日を「諸聖人の日」として祝うようにしました。この日には天国にいるすべての聖人を記念し称えます。
その後ローマ教皇グレゴリウス4世が、この祝日を全キリスト教に広め、また西方教会ではAll Saints' Dayとして受け入れられていきました。
All Saints' Dayがフィリピンに伝わったのは、スペインの植民地時代(1565~1898年)と言われています。スペイン人の宣教師たちは、フィリピン人にカトリック教の教えを広め、同時にカトリックの行事であるAll Saints' Dayも、大切な祝日として定着していきました。
フィリピンには元々先祖崇拝文化がありましたが、All Saints' Dayはその文化と合わさって、先祖供養の行事としてさらに発展していったのです。
フィリピンにおけるお墓参りの重要性
フィリピンのAll Saints' Dayで一番大切にされていることは、家族揃ってのお墓参りです。お墓は家族の団結や、故人との繋がりを確認する大切な場所とされています。
都市部に住んでいる家族もこの日のために帰省し、故郷の墓地に集まります。ちなみに11月1日とその前後は交通機関が非常に混雑し、フィリピン政府は対策を講じているそうです。
墓地に集まった家族は、お花をお供えし、キャンドルを灯してお墓の周りに飾ります。夜には、墓地全体がたくさんのキャンドルで照らされて、とても美しい光景になります。キャンドルには「故人の魂が迷わず導かれるように」という願いが込められているそうです。
そしてキャンドルの光の中で、ジョリビー(フィリピンで人気のファーストフード)やレチョン(豚の丸焼き)などのご馳走を家族みんなで囲み、和気あいあいとした雰囲気で過ごします。ちょっとしたパーティーやピクニック感覚で、故人との時間を愉しみます。
フィリピンではクリスマスや年末年始も家族の日として大切にされていますが、All Saint's Dayはいとこ、叔父や叔母、姪や甥まで広い親戚=家族に会える日なので、みんなが毎年楽しみにしているようです。家族揃って会いにきてくれて、故人や先祖たちにとっても、一年で一番嬉しい日かもしれませんね。
フィリピンと日本の供養方法の多様性と海外リゾート散骨の魅力
All Saints' Dayはフィリピンの伝統的な行事ですが、現代のライフスタイルや技術の進歩に伴い、All Saints' Dayの祝い方や供養のかたちが徐々に変化しています。特に若い世代や都市部に住む人たちの間では、伝統を守りつつも新しい供養の仕方が広がってきています。
先述しましたが、フィリピンの首都マニラをはじめとする大都市では、交通機関の混雑が深刻で、特に帰省シーズンには長時間の渋滞が発生します。そのためAll Saints' Dayの数日前や前後にお墓参りをするなど、お墓参りのタイミングが柔軟になってきています。
またインターネットやスマートフォンの普及により、SNSを通じたデジタル供養も広がっています。フィリピンは世界でもSNSの利用率が高く、FacebookやInstagramなどでAll Saints' Dayに関する投稿を共有することが一般的になってきています。そしてお墓参りができない場合でも、SNSを通じて家族や友人にメッセージを送ったり、思い出の写真を投稿したり、それぞれの方法で故人を偲ぶことができます。
またオンライン上でバーチャルキャンドルライトを灯すサイトやアプリも人気のようです。墓地でキャンドルを灯す代わりに、オンライン上でキャンドルを点灯させることで、故人の魂を供養するという新しいスタイルも浸透してきています。
近年日本でも、供養の仕方は多種多様になってきました。時代の変化と共に、従来の墓地での埋葬や供養に代わる新しい方法が登場し、特に弊社が行っている「海外リゾート散骨」や「樹木葬」といった自然葬が注目されてます。
海外リゾート散骨の大きな魅力のひとつとして、散骨後に家族がその場所を訪れ、供養と共に旅行を楽しめるという点があります。海外のリゾート地で散骨を行うことで、家族にとって故人が眠るところが特別な場所となり、命日や記念日にその地を訪れることで、家族の絆が一層深まることでしょう。
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また従来のお墓は、維持管理の問題や後継者不在が課題となり、墓じまいをする人が増えています。しかし海外リゾート散骨ではそのような問題を解決し、また家族にとっても美しい海や森といった自然豊かな場所が心の拠り所となります。さらに、故人との思い出を家族全員が特別な場所で共有し続けることができるのです。
フィリピンでは、伝統的な価値観と現代的な要素が合わさって、家族の絆を大切にする新しい供養のかたちが生まれています。日本でも故人や先祖を敬いながらも、家族が幸せな時間を共有できるような供養の仕方を選択してみるのも良いかもしれませんね。