自然に還る散骨
近年、少子高齢化や核家族化、人々ライフスタイルの変化などにより、先祖代々の伝統的なお墓を守ることが大きな負担になってきています。そして墓じまいを検討されている人が増えています。
そうした中、墓じまい後の遺骨を別のお墓に移すのではなく「散骨」を選ぶ人が多くなっています。散骨とは故人の遺灰を、海や森などの自然に還す葬送方法です。最期を美しい自然の中で過ごすことができ「自然葬」とも呼ばれています。
また墓じまい後の遺骨の散骨だけではなく、「最期は自然の中で眠りたい」といった故人の遺志を叶えられる方法としても注目を集めています。
そして散骨といえば「海」というイメージを持っている人が多いのではないでしょうか。
海に散骨することを「海洋散骨」と言います。
海洋散骨とは故人の遺灰を海へと還す葬送方法であります。青く広がる空、心地よい風と波の音、そして大海原の世界の中で、故人が自然と共にエンディングを迎える様子は感動するものです。そして残された遺族にとっての慰めにもなるでしょう。
日本で海洋散骨が始まったきっかけ
日本で海洋散骨が始まったのは、俳優の石原裕次郎さんの死がきっかけと言われています。
1987年に亡くなった石原裕次郎さんの葬送を巡って、兄の石原慎太郎さんが「海が好きだったから太平洋に還してやりたい」と希望されました。しかし当時「墓地、埋葬等に関する法律」の違反が懸念されたり、周囲から反対されたため断念し、海上での追悼会に変更しました。
そして1991年、法務省が散骨は「葬送の為の祭祀で、節度をもって行われる限り違法ではない」との見解を表明し、その後石原裕次郎さんの遺灰の一部が、湘南の海へ散骨されました。
また同年10月には、NPO法人「葬送の自由をすすめる会」が結成されます。
日本で海洋散骨が葬送方法として知られるようになった背景には、葬送の自由をすすめる会の活動が大きく影響していると思います。
神奈川県三崎港から少し離れた、相模灘沖で「第1回自然葬(同会では海洋散骨を自然葬と名付けました)」が行われました。参列者たちが、遺灰を静かに海へ流し献花や献酒、黙祷を行い、それぞれが別れの言葉をかけたりして式は終わりました。当時の法務省と厚生省の担当者から「禁ずる規定はない」との非公式ながらコメントが出されたこともあり、それまで散骨に対して風当りが強かった世間から非難を浴びることもなかったそうです。
その後2020年には厚生労働省が自然環境への配慮などを定めた散骨業者向けの運用指針【散骨に関するガイドライン】を発表しました。
そして、今では多くの人が海洋散骨を行うことができるようになりました。
2022年には石原慎太郎さんの遺灰が神奈川県葉山沖に散骨されたり、最近では電撃ネットワークの南部虎弾さんが沖縄の海に散骨されました。このように有名人も多く散骨されていることからも、海洋散骨は注目を浴びているのです。
関連記事:【有名人も選ぶ散骨】
関連記事:【沖縄での散骨~フジテレビ「ザ・ノンフィクション」が描いた電撃ネットワーク南部虎弾さんの最期~】
関連記事:【田村淳さん海洋散骨体験を語る~墓じまい後の供養~】
海洋散骨が選ばれる理由
・故人の願いを叶えたい
生前に海洋散骨を希望していた故人の願いを叶えるために海洋散骨を選ぶ人は少なくありません。実際石原慎太郎さんは「骨は必ず海に散らせ」という遺言を残したため、家族がその希望を果たしました。南部虎弾さんも「沖縄の海に撒いてくれ」と生前に希望を家族に伝えていて、その願いが現実になりました。
・お墓を守る人がいない
近年少子高齢化や核家族化の影響で、お墓の継承者や維持管理をする人がいなくなってきています。そしてお墓を守る人がいないことで墓じまいをしたり、お墓を持たない人が増えてます。海洋散骨は故人がいる場所が「海」なので、お墓の継承者や維持管理は不要です。また社会問題になっている無縁墓や無縁仏になってしまうリスクもありません。
関連記事:【無縁墓になる前に墓じまいを考えてみませんか?】
関連記事:【無縁遺骨の増加と終活の重要性】
・費用を抑えられる
新しくお墓を建てる場合では150~300万円程度かかります。また霊園へ支払う費用やお寺へ納めるお布施など、納骨後も費用がかかります。海洋散骨ではこうした費用が一切不要なので、経済的な負担を抑えられるでしょう。
・美しい海の中で眠って欲しい
「故人を美しい海へ還したい」と遺族の希望で海洋散骨を選択される人もいます。海の幻想的な世界で最期を迎えてほしいとの想いです。また海の広がりや波の流れ、青い水面などは私たちを魅了し心を癒してくれます。それは遺族にとって、故人を失った悲しみの気持ちが少しポジティブな気持ちになるかもしれません。
海外リゾート散骨の魅力~美しい海での海洋散骨
日本には、海洋散骨を行っている様々な散骨業者があります。その多くが主に国内の海で散骨を行っています。しかし海洋散骨をする海は、日本のみならず世界にもさまざまな海があります。弊社も海洋散骨事業を行っています。そして他社との相違点は「海外」「海外リゾート地」で散骨を行っていることであります。
海外や海外リゾート地で散骨する魅力の一つとして「お墓参りを兼ねてその地を訪れることができる」ことが挙げられます。
お墓参りとして散骨した国や場所を訪れることで、新たに故人との思い出が作れたり、家族や親族、友人知人たちと親睦を深められることでしょう。
また弊社では「フィリピン・セブ」や「オーストラリア・グレートバリアリーフ近海」などのリゾート地で散骨を行っており、日本の海とはまた違った、とても美しい海を堪能することができます。それは遺族にとって、故人を失った悲しみを癒すことにも繋がるかもしれません。
関連記事:【海外リゾート散骨の魅力~フィリピン・フィンランド・オーストラリアでの散骨と供養~】
関連記事:【海外リゾート散骨~フィリピン・セブでの散骨~】
関連記事:【フィリピン・セブ島での散骨とお墓参り~故人を弔い旅行も楽しもう~】
このような「海外散骨」「海外リゾート散骨」は、お墓参りと一緒に観光や癒しのひととを過ごすこともできることから注目されています。
「お墓が遠方にある」「お墓参りをする機会がない」などの理由でお墓参りが中々できなかった人たちでも「何度もお墓参りをしたくなる」ことでしょう。
従来お墓は「先祖代々継いでいくもの」「ずっと同じ場所にあるもの」というイメージでしたが、少子高齢化や核家族化などの影響を受け、先祖代々のお墓の承継よりも「自分の好きな場所」「思い出の地にお墓を持ちたい」という人が増えています。
また、お墓参りはゴールデンウィークやお盆、年末年始といった行楽シーズンの連休を利用する人たちが多く「休暇を過ごす場所にお墓を持つ」ことで、お墓参りと共に旅行やレジャーを楽しめることができます。
まるでお墓とは思えないような自然豊かな場所や美しい海で、故人の最期を見送ったりお墓参りをして、故人を失った悲しみを癒したり、家族や親族、友人知人との絆を深めてみるのはいかがでしょうか。