散骨や自然葬が注目される理由
人生の最期をどのように迎え、どう見送るか。そのかたちは、時代とともに少しずつ変わってきています。
これまではお墓に埋葬しするというかたちが一般的とされてきました。
しかし、少子化やライフスタイルの変化、家族の在り方の多様化などを背景に、従来のお墓を維持することが難しいと感じる人も少なくありません。そうした流れのなかで、「墓じまい」を選ぶケースが増えたり、「散骨」や「自然葬」といった、新しい供養のかたちに関心を持つ人が多くなってきました。
なかでも注目されているのが「散骨」です。メディアでも取り上げられる機会が増えてきましたね。
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このような動きは日本だけでなく、世界でも広がっています。たとえばイギリスでは、ドローンを使って遺灰を空からまくという、新しいかたちの散骨が行われています。
そのサービスを提供しているのが、「Aerial Ashes(エアリアル・アッシュズ)」という空中散骨の専門業者です。
イギリスで広がるドローン散骨~空中散骨サービス「Aerial Ashes」とは?
「Aerial Ashes(エアリアル・アッシュズ)」は、ドローンを使った空中散骨を行うイギリスの専門業者です。
このサービスを立ち上げたのは、元空軍パイロットの男性で、長年空を飛び続けてきた経験をもとに、大切な人を空へ送り出すという新しいかたちのお別れを考えたそうです。
散骨は、海辺や草原、緩やかな丘など、静かな自然に囲まれた場所で行われます。ドローンがゆっくりと空へ上がり、青空のもとで遺灰をまいていく光景は、見送る人にとっても落ち着いて故人と向き合える時間になります。
「Aerial Ashes」では、事前の相談を通して、音楽を流すか、映像を残すか、どんなふうに参列するかなどを一つひとつ丁寧に話し合うことができ、遺族の気持ちに寄り添いながら、それぞれに合ったかたちで心を込めた見送りができるよう、細やかな工夫がされています。
また、このサービスは英国民間航空局(CAA)から正式な運航許可を受けており、安全性と法的な信頼性もしっかり確保されています。
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ドローン散骨が選ばれる理由
最近では、こうした空中散骨に惹かれる人が、イギリスだけでなく他の国々でも少しずつ増えてきています。
特にドローン散骨は、広々とした空のもとで行われるため、開放感があります。また、セレモニーとしての美しさもあり、印象に残る見送り方として注目されています。
こうしたスタイルが広まりつつある背景には、いくつかの理由があります。
・都市部での墓地不足と、埋葬にかかる費用の上昇
・宗教にとらわれない生き方や、自然とともに生きる価値観の広がり
・自分らしい見送り方を望む人の増加
・新しい技術やサービスに対する抵抗が少なくなってきていること
さらに、ドローン散骨には、映像を記録して家族や親戚と共有できるというメリットもあります。遠くに住んでいてその場に立ち会えない家族も、あとから映像を通して一緒に見送ることができるので、離れていても気持ちを共有できる方法として受け入れられています。
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ドローンで叶える空中散骨
死をどのように迎え、どのように送るかは誰にとっても、大切なテーマです。そして今では、その選び方もずっと自由になっています。
ドローンを使った空中散骨という方法は、最初は少し意外に感じられるかもしれません。けれどその根底には、「自然の中に還りたい」「その人らしい形で見送りたい」「家族に無理をかけたくない」といった、まっすぐな想いがあります。
イギリスで生まれた「Aerial Ashes」のようなサービスは、少しずつ広まり始めています。こうした新しい選択肢は、きっと日本を含む他の国々にも受け入れられていくことでしょう。
空へと上がっていくドローンの軌道を見つめながら、青空の向こうにその人の姿を思い浮かべる。そのひとときは、心の中でそっと手を合わせたくなるような、静かであたたかいお別れの時間になるかもしれません。