遺骨を“分ける”という供養―分骨経験者の95%が満足、それでも家族で決めておきたい「分け方」と「その先」

執筆者:ムラタ

遺骨を“分ける”という供養―分骨経験者の95%が満足、それでも家族で決めておきたい「分け方」と「その先」

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「お墓はひとつ」「遺骨は一か所に納めるもの」。長いあいだ、それが当たり前だと考えられてきました。けれども、家族が離れて暮らすことが珍しくなくなった今、遺骨の一部を分けて、それぞれの場所で故人を想うという選択をする人が増えています。

10月13日、墓じまい代行サービスを運営する株式会社フーフーが、分骨を経験した100人を対象にした調査結果を公表しました。そこからは、分骨を選んだ人の多くが満足している一方で、「本当に分けてよかったのか」と迷う気持ちや、将来の手続きへの不安も見えてきます。

今回はこの調査をきっかけに、分骨という供養のかたちと、家族で決めておきたいことを、散骨との組み合わせも含めて考えてみます。

分骨とは?―「遺骨を分けてもいいの?」という素朴な疑問

分骨とは、遺骨の一部を分けて、別のお墓や納骨堂、自宅など、複数の場所で供養することです。たとえば「本骨は故郷のお墓に、一部は都会に暮らす子どもの家に」「大部分は海へ散骨し、少しだけ手元に」といったかたちが考えられます。

まず気になるのは「遺骨を分けても問題ないのか」という点でしょう。分骨そのものを禁じる法律はなく、遺骨を丸ごと別のお墓へ移す「改葬」と違って、市区町村の許可は不要とする自治体の案内が一般的です。広島市も、すでにお墓や納骨堂に納めている遺骨を分ける場合は、その墓地や納骨堂の管理者に申し出るよう案内しています。

手続きの中心になるのは「分骨証明書」です。分けた遺骨を別のお墓や納骨堂に納めるときに求められる書類で、火葬のときに分けるなら火葬場、すでに納骨している場合はその墓地・納骨堂の管理者に発行してもらうのが基本の流れです。発行手数料は管理者によって異なり、たとえば静岡市の市営墓地では遺骨1体につき300円とされています。

なお、書類の名称や必要な手続きは墓地・寺院・自治体によって異なります。実際に分骨を考える際は、事前に管理者や自治体へ確認しておくと安心です。

経験者の95%が満足―分骨を選んだ理由と、残った後悔

フーフーの調査(2026年7月実施、インターネット調査、分骨経験者100人)によると、分骨を選んで「満足している」が50人、「おおむね満足している」が45人で、あわせて95%が肯定的に受け止めていました。分骨を選んだ理由は次のとおりです。

・家族それぞれで供養するため(43%)


最も多かった理由です。家族が離れた地域に暮らしていても、それぞれが身近な場所で手を合わせられることが評価されています。

・手元供養をしたかった(34%)


遺骨の一部を自宅に置き、日々の暮らしのなかで故人を感じたいという声です。「遠いお墓に行かなくても、毎日手を合わせられる」という自由回答も寄せられています。

・散骨と手元供養を両立したかった(13%)


「海に還したい」という故人の願いと、「そばに置いておきたい」という家族の気持ち。その両方を叶える方法として分骨を選んだ人もいました。

一方で、5人は「少し後悔している」「後悔している」と回答しています。自由回答には、遺骨を分けたことで「成仏できないのでは」と不安になった、将来の墓じまいが大変になった、といった声がありました。分骨経験者からは、家族や親族と事前によく話し合うこと、分骨証明書などの手続きを早めに確認しておくことが大切だという意見も多く寄せられています。

なお、この調査は回答者100人と小規模で、墓じまいの代行事業者によるものです。全体の傾向というより、経験者の実感を知るひとつの手がかりとして受け止めるのがよさそうです。

「分けない」という考え方もある―宗教や家族の価値観との向き合い方

分骨の満足度が高い一方で、遺骨を分けることに抵抗を感じる人がいるのも事実です。調査でも、親族から「遺骨を傷つける行為だ」と不満を示されたという声がありました。

こうした感覚は日本だけのものではありません。たとえばカトリック教会では、教皇庁が2016年に公表した指針で、遺灰は墓地などの聖なる場所に納めるべきとし、家族間で分けることや、自宅での保管、散骨を認めない考え方を示しています。信仰や家の考え方によって、「遺骨をどう扱うのが敬意なのか」の答えは大きく変わるのです。

だからこそ、分骨を考えるときには「法律上できるかどうか」と「家族が納得できるかどうか」は別の問題として捉えておきたいところです。故人がどんな希望を持っていたのか、家族それぞれがどう感じているのか。結論を急がず、気持ちを共有する時間を持つことが、のちの後悔やすれ違いを防ぐ近道になります。

散骨と手元供養を組み合わせる―「海に還す」と「そばに置く」を両立するには

岩と花が彩る穏やかな海辺の風景

調査で13%の人が選んでいた「散骨と手元供養の両立」は、自然に還ることを望む方にとって、現実的な選択肢のひとつです。散骨は一度行うと遺骨を戻すことができません。少しだけ手元に残しておくことで、「すべて手放してしまった」という寂しさがやわらぐと感じる方もいます。

散骨と分骨を組み合わせる際は、次の点を家族で確認しておくとスムーズです。

・どれだけを、どこへ分けるか


散骨する分と手元に残す分、お墓に納める分のおおまかな割合を決めておきます。誰がどの分を引き継ぐのかも、あわせて話しておくと安心です。

・手元に残した遺骨の「その先」


手元供養の遺骨は、いずれ管理する人がいなくなる可能性があります。最終的には散骨する、どなたかのお墓に一緒に納めるなど、「最後にどうするか」まで決めておかないと、次の世代が判断に迷うことになりかねません。

・書類と粉骨の準備


将来、分けた遺骨をお墓や納骨堂に納める可能性があるなら、分骨証明書をもらっておくと手続きがスムーズです。経験者からも「火葬時に必要な数だけ証明書をもらっておけばよかった」という声がありました。また、散骨する遺骨は粉末状にする「粉骨」が必要です。

弊社「海と森のセレモニー」では、セブ島やハワイ、バリ島などの海で、現地のルールに沿った海外リゾート散骨をご提案しています。ご遺骨の一部を散骨し、残りを手元供養やお墓で大切にされるかたちにも対応しています。散骨は弊社スタッフによる代行を基本としており、写真や動画、散骨証明書で当日の様子をご確認いただけます。旅先として何度でも訪れたくなる海が、もうひとつの「会いに行ける場所」になります。

遺骨をひとつにまとめるか、分けるか。正解はひとつではありません。大切なのは、故人の想いと家族の気持ちを持ち寄り、「どこで、どのように故人を想い続けたいか」を一緒に決めておくことではないでしょうか。

関連記事:【分骨手続きのポイント~手順から注意点まで~】

関連記事:【手元供養とは?メリット・デメリットと注意点、手元供養品の種類と散骨との組み合わせ方】

関連記事:【散骨と世代間ギャップ~家族で考える供養のかたち~】

参考:
分骨経験者の95.00%が「満足」と回答|選んだ理由1位は「家族それぞれで供養するため」43.00%、後悔理由や注意点も調査(株式会社フーフー/PR TIMES)
墓じまいと分骨の違いは?選んだ理由は「家族それぞれで供養」43%、「手元供養」34%(LIMO)
死亡 よくある質問と回答(広島市)
市営墓地埋蔵分骨証明交付請求書(静岡市)
Instruction Ad resurgendum cum Christo(Holy See Press Office)
Vatican offers further guidance on handling cremains(USCCB)

まとめまとめ

1.分骨とは遺骨の一部を分けて、複数の場所で供養すること。改葬と違い、市区町村の許可は不要とする自治体の案内が一般的

2.分けた遺骨を別のお墓などに納める際は、火葬場や墓地・納骨堂の管理者が発行する分骨証明書が必要になる。手続きや手数料は管理者によって異なる

3.2026年10月公表の調査では、分骨経験者の95%が「満足」「おおむね満足」と回答。理由は「家族それぞれで供養するため」43%、「手元供養をしたかった」34%、「散骨と手元供養を両立したかった」13%

4.一方で、「分けてよかったのか」という心理的な迷いや、将来の墓じまいの負担を後悔として挙げる声もある

5.カトリック教会は遺灰を家族間で分けることを認めない考え方を示しており、宗教や家族の価値観によって受け止め方は異なる

6.散骨と手元供養を組み合わせる場合は、分ける量と行き先、手元に残した遺骨の「最後の行き先」、書類の準備を家族で確認しておきたい

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