改葬が年19万件に、無縁墓の改葬は3,526件―厚労省の最新統計に見る墓じまいの今と、遺骨を“どこへ還すか”

執筆者:Tomo

改葬が年19万件に、無縁墓の改葬は3,526件―厚労省の最新統計に見る墓じまいの今と、遺骨を“どこへ還すか”

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「実家のお墓、この先だれが守るんだろう」。お盆やお彼岸のたびに、そんなことが頭をよぎる方も多いかもしれません。遠くて通えない、子どもに負担をかけたくない。理由はさまざまですが、お墓を移したり閉じたりする家族は年々増えています。

10月27日、厚生労働省が「令和7年度衛生行政報告例」を公表しました。そこには、2025年度に全国で許可された改葬(お墓の引っ越し)が19万1,212件にのぼったことが記されています。

今回は、この統計から見えてくる「お墓のいま」と、海外で進む遺骨の行き先のルールづくりを紹介しながら、墓じまいのあと、遺骨をどこへ還すかを考えてみます。

改葬は年19万件に―1日あたり500件を超えるお墓の引っ越し

改葬とは、お墓に納めている遺骨を、別のお墓や納骨堂などへ移すことです。「墓地、埋葬等に関する法律」(墓埋法)では、改葬をするときに市区町村長の許可を受けることが定められています。

この法律で「改葬」とは、埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋葬し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すことをいう。出典:墓地、埋葬等に関する法律 第2条第3項

衛生行政報告例は、この改葬の許可件数を毎年度まとめたもの。直近4年度の数字を並べてみると、増え方がよくわかります。

・2022年度(令和4年度)


15万1,076件

・2023年度(令和5年度)


16万6,886件

・2024年度(令和6年度)


17万6,140件

・2025年度(令和7年度)


19万1,212件

2025年度は前の年度より約8.6%増え、3年で4万件ほど増えたことになります。1日あたりにすると、およそ520件。毎日どこかで、それだけの家族がお墓の引っ越しをしている計算です。

都道府県別では、北海道(1万6,454件)、東京都(1万4,220件)、大阪府(1万1,888件)の順に多くなっていました。

ただし、この数字がそのまま「墓じまいの数」というわけではありません。改葬には、お墓を閉じる墓じまいのほかに、遠くのお墓を近くへ移す、納骨堂や樹木葬に移す、といったケースも含まれます。反対に、お墓から取り出した遺骨を散骨する場合は、改葬許可はいらないとする考え方があり、自治体によってはこの統計に数えられないこともあると考えられます。

それでも、「お墓をいまのかたちのまま守り続ける」以外の道を選ぶ家族が、確実に増えていることは読み取れそうですね。

関連記事:【「お墓を継がない」を選ぶ人が増えている理由~墓じまい急増と海洋散骨に見る、供養の価値観の変化~】

無縁墓の改葬は3,526件―名古屋市に集中していた理由

同じ統計には、もう一つ、静かに考えさせられる数字があります。「無縁墳墓等の改葬」です。

無縁墳墓とは、お参りや管理をする縁故者がいなくなったお墓のこと。墓地の管理者は、官報などで公告して一定の期間に名乗り出る人がいないことを確かめたうえで、自治体の許可を受けて遺骨を移すことができます。移された遺骨は、多くの場合、合葬墓などにほかの方の遺骨とともに納められます。

2025年度、この無縁墳墓等の改葬は3,526件でした。前の年度(3,006件)より500件ほど増えています。

目を引くのは、その内訳です。愛知県が1,621件と全国の約46%を占め、そのうち1,614件が名古屋市でした。報道では、名古屋市が管理料の滞納が長く続いた市営霊園のお墓について、条例にもとづいて整理と合祀を計画的に進めたためと説明されています。

つまり、この件数は「無縁墓がどれだけあるか」を表すものではなく、整理が進んだ地域や時期によって大きく変わる数字です。管理料が納められないまま、だれにも気づかれずに残っているお墓は、全国にまだ多くあるのかもしれません。

無縁墳墓の改葬は、管理者にとっても簡単な手続きではありません。そして何より、遺骨の行き先を、家族ではない人が決めることになります。お墓を守る人がいなくなる前に、家族で行き先を話しておくことが、故人にとっても、残された人にとってもやさしい選択になるのではないでしょうか。

関連記事:【無縁遺骨はなぜ増えている?~全国約6万柱の現状と、無縁遺骨にならないための終活・自治体の支援~】

海の向こうでも―公園での散骨に「書面の許可」をつくったアメリカの町

遺骨の行き先が多様になるにつれて、「どこでなら還してよいのか」というルールづくりも各地で進んでいます。

アメリカ・カリフォルニア州北部のチコ市では、市の公園委員会が、市を代表する公園「ビッドウェル・パーク」で遺灰をまくための方針を全会一致で承認したと、地元の公共ラジオ局が10月27日に報じました。

報道によると、主なルールは次のとおりです。

・市の書面による許可を受ける


散骨の前に、公園のスタッフから書面で許可を受ける必要があります。

・川や湖から200フィート(約61メートル)以上離れる


水辺から一定の距離をとることが求められています。

・人が多く集まる場所ではまかない


遊歩道や子どもの遊び場など、利用の多い場所での散骨は認められていません。

公園の管理者によると、ここ最近、公園で遺灰をまきたいという問い合わせが大きく増えていたそうです。ところが市に方針がなかったため、これまでは断るしかなかったといいます。報道では、「散骨するなら、その土地の持ち主の許可が要る」という説明も紹介されていました。

思い出の場所に還してあげたいという家族の願いと、その場所を使うほかの人たちへの配慮。その両方を大切にするために、ルールがつくられたといえそうです。

日本でも、散骨を直接禁じる法律はないとされる一方、厚生労働省は散骨事業者向けのガイドラインを示し、条例で散骨のルールを定めている自治体もあります。他人の土地や施設で散骨するときに持ち主の了解が必要になる点は、日本でも同じと考えておいたほうがよいでしょう。

関連記事:【ロックフェスで息子の遺灰をまいた母―「思い出の場所で眠らせたい」という願いを、ルールの中で叶えるには】

墓じまいのあと、遺骨をどこへ還すか―家族で確かめておきたいこと

穏やかな海と水平線に差す夕日

お墓から取り出した遺骨の行き先には、いくつもの道があります。新しいお墓や納骨堂、樹木葬、お寺などの永代供養墓、海や森への散骨、そして一部を手元に残す手元供養。どれか一つに決める必要はなく、分骨して組み合わせる家族もいます。

どの道を選ぶにしても、墓じまいの前に確かめておきたいことは何でしょうか。

・行き先を先に決める


改葬許可の申請では、ふつう新しい納め先の証明が求められます。お墓を閉じてから行き先を探すより、先に決めておくほうが手続きはずっとスムーズです。

・散骨するときは、役所とお墓の管理者に確認する


取り出した遺骨を散骨する場合、改葬許可はいらないとされる一方で、実際の扱いは自治体によって異なるのが現状。お墓の管理者が、遺骨を引き渡す条件として書類を求めることもあります。墓地のある自治体の窓口と管理者に、前もって聞いておくと安心でしょう。

・親族と気持ちを共有する


お墓には、家族それぞれの思い出が重なっています。手続きの話の前に、「なぜ移したいのか」「どこへ還してあげたいのか」を、親族と言葉にして分かち合っておきたいですね。

・「会いに行ける場所」を考える


お墓がなくなると、手を合わせる場所がなくなるようで寂しい、という声もあります。散骨した海を訪ねる、命日に家族で集まるなど、これからの偲び方も一緒に考えておくと、気持ちの整理がつきやすくなります。

弊社の海外リゾート散骨も、こうした「墓じまいのあとの行き先」として選ばれることが少なくありません。故人が好きだった海や、家族の思い出の旅先に還してあげる。その場所が、また会いに行きたくなる場所になるのは、散骨ならではのよさかもしれません。

関連記事:【散骨の手続きと必要書類~業者に頼むときの流れ、墓じまい後の散骨と改葬許可、粉骨まで~】

本記事は2026年10月時点の公開情報をもとにしたもので、法的な助言ではありません。改葬や散骨の手続きは自治体やお墓の管理者によって異なりますので、実際の手続きの前に各窓口へご確認ください。

お墓の「その先」を、家族で話す時間を

年19万件を超えた改葬と、3,526件の無縁墳墓の改葬。2つの数字は、お墓のかたちが変わっていく中で、遺骨の行き先を「だれが」「いつ」決めるのかが問われていることを教えてくれます。

お墓を守り続けることも、閉じて別のかたちで供養することも、どちらも故人を大切に想う気持ちから生まれる選択です。正解は一つではありません。

大切なのは、行き先を家族の手で選べるうちに、少しずつ話しておくこと。次に家族が集まるとき、「おじいちゃんのお墓、これからどうしようか」と切り出してみてはいかがでしょうか。墓じまいのあとの散骨について、疑問や不安があれば、まずはお気軽にご相談ください。

参考:
令和7年度衛生行政報告例の概況(厚生労働省)
衛生行政報告例 統計表「埋葬及び火葬の死体・死胎数並びに改葬数」(e-Stat)
【いまどきの墓じまい】改葬許可件数は令和7年度(2025年度)に19万1212件、前年度比8.6%増(LIMO/Yahoo!ニュース)
後継ぎがいないお墓の放置リスク…年間3526件の無縁墓が「改葬」。46%が愛知県に集中する理由(LIMO/Yahoo!ニュース)
Chico OKs policy for scattering human ashes in Bidwell Park(North State Public Radio)
墓地、埋葬等に関する法律(e-Gov法令検索)

まとめまとめ

1.厚生労働省が2026年10月27日に公表した「令和7年度衛生行政報告例」によると、2025年度の改葬(お墓の引っ越し)の許可件数は19万1,212件。前の年度より約8.6%増え、2022年度の15万1,076件から3年で4万件ほど増えた

2.改葬には墓じまいのほか、納骨堂や樹木葬への移転なども含まれる。取り出した遺骨を散骨する場合は改葬許可はいらないとする考え方があり、扱いは自治体によって異なる

3.縁故者のいなくなったお墓を管理者が移す「無縁墳墓等の改葬」は3,526件。愛知県が約46%を占め、報道では名古屋市が市営霊園で整理を計画的に進めたためと説明されている

4.アメリカ・カリフォルニア州チコ市は、公園での散骨に書面の許可や水辺から約61メートル以上離れることなどを求める方針を承認した。思い出の場所へ還したい願いと、ほかの利用者への配慮を両立させる試み

5.墓じまいの前には、行き先を先に決める、散骨するなら役所とお墓の管理者に確認する、親族と気持ちを共有する、これからの「会いに行ける場所」を考えることが大切

6.お墓を守ることも閉じることも、故人を想う気持ちから生まれる選択。遺骨の行き先を家族の手で選べるうちに、少しずつ話しておきたい

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