墓じまいで撤去した墓石は、どこへ行くのか―福島・喜多方の不法投棄事件に学ぶ「任せたあと」の確かめ方

執筆者:Tomo

墓じまいで撤去した墓石は、どこへ行くのか―福島・喜多方の不法投棄事件に学ぶ「任せたあと」の確かめ方

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墓じまいで引き取られた墓石が、採石場跡地に埋められていた

墓じまいで役目を終えた墓石は、その後どこへ運ばれ、どう処理されているのでしょうか。多くの方は石材店に任せたきりで、その先を知る機会はほとんどありません。2026年9月、その「先」で起きていた出来事に、ひとつの区切りがつきました。

福島民報や福島民友新聞の報道によると、福島県警喜多方署は2026年5月28日、喜多方市の石材会社の社長を廃棄物処理法違反(不法投棄)の疑いで逮捕しました。容疑は、2022年5月から9月にかけて、墓じまいの依頼を受けて回収した墓石約454キロを、市内の採石場跡地に投棄したというものです。福島民報は、ほかにも数トン規模の墓石が埋められている可能性があると伝えていました。

その後、社長は処分保留で釈放され、福島地検会津若松支部は9月9日付で不起訴としました。理由について福島地検は「証拠関係を踏まえた結果」としています。一方、同じ容疑で書類送検されていた会社(法人)と従業員は同日付で略式起訴され、KFB福島放送の報道によれば、9月18日付で会社に罰金100万円、従業員に罰金40万円の略式命令が出されたとのことです。

依頼した家族からすれば、「きちんと供養し、適切に処分してもらえた」と信じていた墓石です。墓じまいは、遺骨を取り出して終わりではなく、墓石の行き先まで含めてひとつの手続きだということを、この事件はあらためて示しています。

撤去した墓石は、本来どう処理されるのか

厚生労働省「衛生行政報告例」によると、2024年度の改葬件数は17万6,105件と過去最多を更新し、この10年でおよそ2倍になりました。墓じまいが増えれば、撤去される墓石も同じだけ増えていきます。

実は、撤去された墓石の多くは「産業廃棄物」として扱われます。破砕されたうえで、土木工事の資材などに再利用されるのが一般的とされています。ただし、墓石は重く、運搬や破砕には相応の費用がかかります。その費用を浮かせようとして不法投棄に至る例は以前からあり、2018年には宮城県岩沼市で約11トン、2019年には福岡県北九州市で53基(約5トン)の墓石をめぐって業者が逮捕されたと報じられています。

廃棄物処理法は、不法投棄を次のように禁じています。

何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。(廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第16条)

福島県や福島市の案内によると、自分の土地であっても、穴を掘って廃棄物を埋めれば不法投棄にあたり、違反した場合は5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金(法人は3億円以下の罰金)、またはその併科の対象になります。

こうした不法投棄を防ぐために設けられているのが、「マニフェスト(産業廃棄物管理票)」の制度です。廃棄物を出す事業者が、運搬業者・処分業者の名前などを記した管理票を廃棄物と一緒に流通させ、処理が終わったことを返送された票で確認する仕組みです。なお、墓石の廃棄物としての区分や取り扱いは、自治体によって解釈が異なる場合があるとされています。

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海外でも問われる「見えないところの仕事」―米デトロイトの訴訟

「任せたあとのことは、家族からは見えない」。この問題は、日本の墓じまいに限った話ではありません。

米ミシガン州デトロイトの地元テレビ局WDIVは2026年9月30日、2組の遺族が、地元の葬儀社などを相手取って訴えを起こしたと報じました。訴状などによると、9月初めに亡くなった女性が、予定されていたお別れ(ビューイング)の前に誤って火葬されてしまい、当日の会場には別の女性のご遺体が安置されていたと、遺族側は主張しています。お別れの準備に訪れた娘さんが異変に気づいたことで発覚したといい、遺族の代理人は、まだ受け取れていない遺灰についてDNA鑑定を行う考えを示しています。

葬儀社側は、内部調査を進めていると説明しており、代理人弁護士は、本人確認に関する手順の見直しを検討すると述べています。現時点では遺族側の主張にもとづく訴訟の段階であり、事実関係は今後の手続きで明らかにされることになります。

娘さんは取材に「お別れを言う機会がなかった」と語っています。墓石であれ、ご遺体や遺灰であれ、家族の目が届かないところで行われる仕事ほど、取り返しがつかない。国は違っても、問われていることは同じではないでしょうか。

「任せたあと」まで確かめる―依頼前に見ておきたい3つのポイント

とはいえ、遺族がすべての作業に立ち会うことは現実的ではありません。大切なのは、「見えない部分を、あとから確かめられる形にしてくれる業者かどうか」を、依頼する前に見ておくことです。

・墓石の処分先と処分方法を聞く


撤去した墓石をどこへ運び、どのように処理するのかを、見積もりの段階でたずねてみましょう。処分先を具体的に答えられるか、処理を確認できる書類(マニフェストの写しなど)を見せてもらえるかは、ひとつの目安になります。

・見積もりの内訳を確認する


撤去・運搬・処分の費用がそれぞれ明記されているかを確認します。墓石の処分には一定の費用がかかるため、他社と比べて極端に安い見積もりは、処分費がどう扱われているのかを確かめておくと安心です。複数の業者から見積もりを取ることも有効です。

・作業後の報告や証明があるかを確かめる


作業後の写真や完了報告など、「終わったこと」を記録として残してもらえるかも大切です。これは墓石だけでなく、取り出した遺骨の行き先についても同じです。たとえば散骨の場合、厚生労働省が2021年に公表した「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」は、事業者に対して、契約内容を明記した約款の整備・公表、費用の明細書の添付、そして散骨後の「散骨証明書」の作成・交付などを求めています。

関連記事:【墓じまいと散骨に関する必要な手続きと費用】

まとめ―墓石も遺骨も、「見届ける」ところまでが墓じまい

穏やかな海と水平線

喜多方市の事件は、墓じまいを依頼した家族の知らないところで、墓石が本来とは違う扱いを受けていたことを明らかにしました。デトロイトの訴訟もまた、「任せたあと」が見えないことの重さを伝えています。

墓じまいは、ご先祖の墓石を手放し、遺骨を新しい場所へお連れする、やり直しのきかない節目です。だからこそ、墓石の行き先も、遺骨の行き先も、「確かに見届けた」と思えるかたちで終えることが、のちの安心につながります。

墓じまい後の供養先として散骨を選ぶ場合も、考え方は同じです。海と森のセレモニーの海外リゾート散骨では、現地にお越しになれない場合でも、散骨の様子を写真と動画で記録し、散骨証明書とあわせてお届けしています。ご希望に応じて現地で立ち会っていただくことも可能です。遠い海であっても、「どこで、どのように還ったのか」を確かめられることが、「また会いに行きたくなる場所」の出発点になると考えています。

墓じまいを検討されている方は、費用や日程だけでなく、「そのあとをどう確かめられるか」も、ぜひ業者選びの基準に加えてみてください。

関連記事:【代理散骨のメリットとデメリット】

本記事は報道および公的機関の公開情報をもとに作成したもので、法的助言ではありません。廃棄物の区分や手続きは自治体によって取り扱いが異なる場合がありますので、具体的な判断は自治体や専門家にご確認ください。

参考:
喜多方の墓石投棄、社長を不起訴 会社と従業員は略式起訴(福島民友新聞)
墓石を不法に埋めた疑いで逮捕の会社役員が不起訴 丸正と従業員に略式命令(KFB福島放送/Yahoo!ニュース)
墓石454キロ不法投棄疑い 喜多方署 石材業社長を逮捕 他にも数トン規模か(福島民報)
不法投棄の防止について(福島県)
不法投棄・野焼き(野外焼却)等は禁止されています(福島市)
産廃知識 マニフェスト制度(公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター)
【第4回】改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年)(鎌倉新書/PR TIMES)
「ベンツ一台」の高級品がゴロゴロある…激安で墓石引き取り供養する「墓石の墓場」で発見したモザイクアート(PRESIDENT Online)
【福岡市の海岸に大量の墓石】役目終えた「墓石」はどう処分されるのか(NetIB-News/データ・マックス)
Two families sue Detroit funeral home over alleged body mix-up, cremation error(WDIV ClickOnDetroit)
散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)(厚生労働省)

まとめまとめ

1.福島県喜多方市で、墓じまいで回収した墓石約454キロを採石場跡地に投棄したとして石材会社の社長が逮捕された事件で、2026年9月、社長は不起訴、会社と従業員には罰金の略式命令が出たと報じられた

2.2024年度の改葬件数は17万6,105件と過去最多。撤去された墓石の多くは産業廃棄物として破砕・再利用されるが、処分費用を背景にした不法投棄は過去にも起きている

3.廃棄物処理法は不法投棄を禁じており、自分の土地に埋めた場合でも不法投棄にあたる。処理の流れを確認するマニフェスト(産業廃棄物管理票)の制度がある

4.米デトロイトでは2026年9月、葬儀社での取り違えを訴える遺族の訴訟が報じられ、「任せたあとが見えない」問題は海外でも共通している

5.依頼前に処分先・見積もりの内訳・作業後の報告や証明の有無を確かめることが大切。散骨でも、厚生労働省のガイドラインは散骨証明書の交付などを事業者に求めている

6.墓石も遺骨も「見届けた」と思えるかたちで終えることが、墓じまい後の安心につながる

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